1本のウメの木から、違う色の花が咲くのはなぜですか?

突然変異が起こるためです

1本のウメの木で異なる色の花が咲くのは、突然変異が起こるためです。ウメは少しの遺伝子変異で花色が変わりやすく、紅梅の枝のどこかの細胞に突然変異が起こると白花になることがあり、その先の花はすべて白花になります。
ウメは中国原産で、日本には朝鮮半島経由で入ってきました。奈良時代にはすでに栽培され、江戸時代に盛んに品種改良が進んだ作物です。花を鑑賞するのが目的の品種を「花梅」、実を収穫するのが目的の品種を「実梅」と区別しています。今では花梅と実梅を合わせると500種類近くの品種があるともいわれています。
ウメの花は、本来白色で、はじめは実を収穫する実梅として改良されてきたようです。その後、観賞用の紅梅(赤花)が品種改良され、徐々に花色や花の大きさ、八重咲きなど品種が増えていきました。多くの品種は、突然変異などによって花の色や形が変わったものですが、それぞれの品種の果実から取り出した種をまいても、親と同じ花色や果実にはなりません。実際には、突然変異などにより変わった形質は、挿し木や接ぎ木により増やす必要があります。
さて、赤い花をつけるウメの木の花のうちのいくつかが白くなり、紅白のウメの木になっている場合があります。それには次のような原因が考えられます。
①花が小さいときに一部の花の酵素がうまく働かず、赤い色をつくることができずに白花になる(同じ枝でも赤白混在します)。
②枝の新芽が突然変異し、白花になり、その後もその枝が成長してつけた花はすべて白花になる。この場合、どの位置で突然変異が起こったかで、赤色と白色の花の比率が変わります。
③白梅と紅梅を一本のウメの木になるように紅梅を白梅に接ぎ木して、紅白のウメに仕立てる。
みなさん春になったら、ウメの花を見て確認してみてください。
(千葉大学園芸学部 丸尾 達)

図 突然変異によって、同じウメの木でも紅白の花が混在して咲く。

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