サボテンはどうして水が少なくても大丈夫なの?

形態的にも生理的にも乾燥に耐える戦略をとっている

サボテンは、年間降雨量が100mm前後、日中は非常に高温になるが、夜間は冷えて結露するような地域に生えています。いろいろな種類がありますが、いずれも水が少ない地域での生育が可能です。サボテンは形態的にも生理的にも乾燥に耐える戦略をとっているのです。
まず、サボテンといえば葉が変化した刺が特徴ですが、これは蒸散を抑えるためで、代わりに茎が多肉化し、一旦吸収した水や栄養を効率的に貯えるよう、太くなっています。
また、どんな植物も光合成や蒸散等の生理作用が不可欠ですが、サボテンは葉ではなく茎が光合成や蒸散の場で、気孔も茎に存在します。通常の植物は、昼間に気孔を開けてCO2を取り込んで光合成をします。一方、サボテンは光合成に必要なCO2を夜間に気温が低下してから気孔を開けて取り込みます。夜間にリンゴ酸の形で細胞内に蓄えたものを原料にして、昼間気孔を閉じた状態で光合成することで蒸散を抑え、水の損失を防いでいるのです。
(千葉大学園芸学部 丸尾 達)

米国アリゾナ州のサワロ国立公園のハシラサボテン

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