泣くとどうして目が赤くなるの?

涙の原料の血液を増やすために、血管が拡張する

涙は、眼の上の外側の奥にある涙腺から分泌されます(図1)。眼の乾燥や感染を防いだり、角膜に栄養を与えるなどの役目を果たしており、実は常に一定量が分泌されています。涙腺から分泌された涙は、目頭にある涙丘方向へ流れていき、涙丘の周辺にある涙小管を通って鼻涙管に吸収され、鼻腔へ流れ去っていきます。
不安や悲しい感情が高ぶったり、角膜や結膜に異物が接したりすると、涙腺を支配する副交感神経が興奮し、涙の分泌量が増えます(「流涙反射」といいます)。このとき、涙の原料となる血液を供給するために血流増加が起こります。涙腺の周囲の血管が拡張するので、外から見ると赤く見えるようになるのです。また、同じく血流増加により、まぶたや眼の周囲がむくみ、眼に軽度の腫れが生じることもあります。
(防衛医科大学校教授 西田育弘)

図1 涙に関わる眼の周りの構造

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