ラッカセイはどうして土に潜るの?

鳥や動物から種子を守るためと考えられる

ボリビアのアンデス山麓が起源のラッカセイは、初夏の早朝に1cmほどの淡黄色の花を咲かせます。花は午後には萎れてしまいますが、開花5日後くらいには、子房の付け根の子房柄といわれる部分が地面に向かって伸張し始めます。やがて、子房は地中に潜り込み、地下数cmのところで肥大して莢をつくります。花が地面に落ちて地中結実するところから、「落花生」の名がついたのでしょう。地中結実性は、ヤブマメやスミレの仲間などでも見られますが、かなりユニークな特性です。
ラッカセイが地中に潜る理由は、風や鳥、動物による種子散布に比べ、地中結実はリスクが少なく確実な繁殖手段であるからでしょう。鳥や動物に食べられるリスクも減りますし、標高が高く雨量も少ない原産地の厳しい気象環境や土壌環境を考えると、地中の方が種子の生育環境も安定しています。地中の莢は、水や肥料を直接吸収する能力があるそうです。
子実の肥大には暗さと湿気が必須ですが、必ずしも土壌中でなくても肥大し、上図のような装置で実験すると、養液栽培でも子実の収穫が可能です。
(千葉大学園芸学部 丸尾 達)


図 ザルに砂などを入れ、ラッカセイを養液栽培すると、
ザルの下の暗く湿ったところにラッカセイの子実が肥大する。

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