木にはどうして年輪があるの?

細胞の大きさの違いが色の違いになって現れる

木の年輪は1年のうちに薄い色の帯と濃い色の帯が交互に現れることで、しましまの「年輪」として見えます。では、この色の違いはなぜ現れるのでしょうか?

身近なスギやマツ(針葉樹というグループ)の年輪を顕微鏡で拡大してみると、パイプ状の細胞でできていることがわかります(図1)。色の薄い帯(「早材」と呼ばれる)は太くて薄い壁の細胞からできています。一方、色の濃い帯(「晩材」と呼ばれる)は細くて厚い壁の細胞からできています。早材はスカスカなので薄い色に、晩材は詰まっているので濃い色に見えます。つまり、細胞の寸法の違いが年輪として現れているのです。木材を手に取ってみたときに爪を立ててみてください。早材は柔らかく、晩材が堅いことがわかるでしょう。

年輪をつくる細胞は、樹皮のすぐ下にある形成層という分裂組織でつくられます。木の皮を剥いだときにヌルヌルしている部分が形成層で、細胞は外側へ新しくつくられていくので外側の年輪ほど新しい年輪です。日本のほとんどの地域では、早材は春に、晩材は夏から秋にかけてつくられます。そのため、1年で1組の早材+晩材のセット=「年輪」ができます。冬の間は成長をしていません。ちなみに、熱帯雨林のような季節がはっきりしていないところでは、できる細胞の変化が少なく年輪として見えません。

木の年輪をよく見ると、狭い年や広い年があります。さらによく見ると、早材や晩材の幅にも年によって変化があることがわかります。この違いは年輪ができたときの気象条件を反映しており、年輪を使って昔の気候変動を知ることができます。年輪は必ず1年に1層ずつできるので、長生きしている木は数百年間、数千年間の気候変動を1年のくるいもなく記憶しているのです。

世界で最も長生きの木には、4723年輪あることが確認されています。

(信州大学山岳科学研究所准教授 安江恒)

図1 年輪の構造

年輪は早材と晩材のセットで構成されている。

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