魚には音がどのように聞こえているの?

内耳の中の耳石や感覚毛によって音を認識している

魚には耳たぶ(耳介)も耳の穴(外耳道)もありませんが、頭の中には内耳が1対あります。その内部には、姿勢を感知する三半規管や、音を感知する小嚢などの耳石器官があり、ここで音波(水の圧力の変化)を感知します(図1)。

水の中を伝わった音波は、人間の鼓膜の役割をする鰾を振動させ、これが内耳に伝わります。このとき、内耳の中にあり、動毛や不動毛で支えられている耳石が動くと、動毛が刺激され、脳(中枢神経)に情報が送られて音が認識されます(図2)。

人間の場合、音に含まれる複数の周波数を音色として聞けますが、これは内耳に蝸牛管と呼ばれる、周波数をばらばらにして聞くための器官があるからです。魚類には蝸牛管がないので、音色がわからないはずなのですが、近年ではクラシック音楽を聞かせると魚の成長が速くなるという研究成果もありました。しかし、魚が音楽を人間と同じように聞いているかということについては、まだわからない部分が残されています。

(日本大学生物資源科学部教授 小島隆人)


図1 音波が鰾を振動させ、内耳に伝わる。

図2 感覚毛が耳石とのわずかなズレを感知し、脳に伝達する。

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