空気の温度は100℃より低いのに、水蒸気が含まれるのはなぜ?

水は100℃以下でも水蒸気になるから

液体の水と気体の水蒸気の最も大きな違いは、分子(物質をつくる小さな粒)のつながり合いがあるか、ないか。液体のとき、水分子はつながり合っているが、気体のときはバラバラに飛び交っている(図1)。何らかのエネルギーによってつながり合いが壊れると、水は水蒸気に変化するわけ。
水が沸騰するのは普通は100℃だから、水蒸気になるのも100℃と思いがち。でも、実際には水から水蒸気への変化はもっと低い温度でも起きている。例えば水面から水蒸気が出ていく「蒸発」がそのひとつだ(図2)。
100℃より低い温度でも、水の表面には周囲から熱などのエネルギーが加わり、表面近くの水分子がちぎれて、水蒸気に変化して空中に出る。空気が100℃でなくても水蒸気があるのはこのためだ。さらに熱が加わって水の温度が100℃まで上がると、水分子のつながりがどんどん壊れて液の中からも水蒸気が出ていく。これが沸騰。こうなると水は液体の状態を保てないので、水の最高温度は100℃までなんだ。
(山村紳一郎)

図1 液体と気体の水分子

図2 蒸発と沸騰の違い

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