カイコはどうやって糸をつくっているの?

クワの葉を消化・吸収して絹糸につくり替えている

カイコの幼虫は蛹になる際に頑丈な繭をつくるのだけど、その繭から取られた糸が絹糸(シルク)だ。
絹糸はフィブロインという名前のタンパク質からできていて、フィブロインは幼虫の体の中にある絹糸腺という細長い管のような部分の一番奥の方でつくられる。カイコはエサであるクワの葉に含まれるタンパク質を消化・吸収してから、絹糸腺の中でフィブロインにつくり替えるんだ。つくられたばかりのフィブロインは水に溶けたどろどろの状態で、絹糸腺の奥の方から手前に濃縮されながら運ばれ、最後に口からはき出される。
カイコは8の字型に首を振りながら繭をつくるのだけど、この動きによりはき出されたフィブロインは引き延ばされて繊維状の固体になる。このようにしてカイコは糸をつくるんだ。
カイコの絹糸は絹織物の材料になる他、医療素材などいろいろな用途に使われている。最近では遺伝子組み換えという技術を使って、例えば緑色に光るクラゲの遺伝子をカイコに導入することにより、緑色の蛍光を持つ糸をつくらせるようなこともできているよ。
(農研機構 神村 学)

写真 人工飼料を食べるカイコの幼虫。

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