ヒトの口ってなんで赤いの?

口の下を走る血管内のヘモグロビンの色

ヒトも動物も、その体を構成している組織は本来無色透明ですが、分厚くなると光が乱反射して不透明になり、さらに、表面に色素物質が沈着すると、その色素の色がその生物の皮膚や粘膜の色となります。ヒトの皮膚にはメラニン色素が沈着し、太陽からの紫外線をブロックしています。これが多いと皮膚は黒く、少ないと白くなり、日本人は中間ぐらいなので黄色に見えます。

では、ヒトの口はなぜ赤く見えるのでしょうか。ヒトの口腔内や唇の粘膜には、メラニン細胞がありません。そのため透明となり、粘膜の下を走る血管内の赤血球、さらにいえば、赤血球の中に入っているヘモグロビン(酸素運搬のためのタンパク質)の赤い色が見えているのです。また、ヘモグロビンに酸素がたくさんついていると赤くなり、少ないと青色になります。唇が青い場合は、寒さで血流が低下している、血流は充分だが何かの病気でヘモグロビン結合酸素が不足しているなどが原因です。後者では、呼吸器疾患や血液疾患が考えられます。ちなみに、口腔内や唇に黒いホクロがある場合、本来色素細胞のないところに色素ができているため重大な疾患である可能性が高いです。

ヒト以外の動物では、皮膚以外の口腔内や粘膜にも色素細胞を持っている場合が多く、その色素の種類によって色が変わります。

(防衛医科大学校教授 西田育弘)

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