完全変態する昆虫は、なんであんなにまったく別の虫のように体を変えることができるのですか?

蛹の中で体を壊したりつくり変えたりして大変身!

バッタなどの不完全変態昆虫では幼虫と成虫がよく似た姿をしているけれど、チョウやカブトムシなどの完全変態昆虫では、幼虫と成虫の姿がまったく別の生き物かと思えるほど違っているね。完全変態昆虫は、蛹の時期があることでそんな変身を行うことができるんだ。
例えばチョウでは、翅は成虫にしかないけど、幼虫(イモムシ)時代にも非常に小さな翅のもとがちゃんと皮膚の下にある。この翅のもとは蛹になるときに大きく膨らんで薄い袋になり、さらに、蛹の期間にさまざまな栄養を取り込みながら厚く強くなる。そして、最後にはさまざまな色の鱗粉を散りばめた縮んだ翅になって、成虫へと羽化するときに大きく広がるんだ。逆に、幼虫には体の後ろの方にも何本も脚があるけれど、これらは成虫にはないね。これらの脚を動かすための筋肉は蛹の中で溶けてしまい、翅などをつくるための栄養分として使われる。
このように完全変態昆虫では、じっと動かない蛹の中でさまざまな部分をつくったり壊したりすることで、幼虫から成虫への大変身を行うことができるんだ。
(農業生物資源研究所 神村 学)

幼虫から蛹を経て、成虫へと大変身を遂げるオオムラサキ。
蛹の中で成虫の体がつくられていく。

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