自然の中に渦巻き模様がいろいろあるのはなぜですか?

ひと言でいうと「簡単にできてしまうから」です

自然界に存在する「模様」は、だれかがつくったわけではなく、ひとりでに出来上がったものです。ですから、簡単にできてしまう形は、身の回りにたくさんあるのですが、つくるのに複雑なしくみがいる形は、ほとんどありません。

一番簡単にできるのは、円です。水面に石を投げ入れてみましょう。中心から、円形の波が広がっていきます。波は同じ速さで広がっていくので、コンパスで書いたように丸い波の形になるのです。渦巻き模様(螺旋)も、円ほどではないですが、いろいろなしくみで簡単にでできます。

円を1か所で切って、少しずらしてみましょう(図)。この2つの先端を、円に沿って伸ばしていくと、渦巻き模様になるのがわかるでしょう。クモが巣をつくるところを思い浮かべてください。最初に縦糸を張った後は、真ん中から、糸を内側の糸に沿って伸ばしていくだけで、自然に螺旋ができるのです。貝の渦巻きも、同じしくみです。貝殻は口があいている部分を成長させて渦巻きをつくりますが、クモの糸と同じように、内側の貝殻に沿って伸ばすだけでよいのです。

もっと身近なものもあります。やわらかいひもを、上からテーブルに下ろしていくと、渦巻きになるのを知っていますか?マンガなどでよく出てくる「うんこ」の形が渦巻きですが、それができるのと同じしくみです。なかなか本物であんなに立派な渦巻きはできないですけどね。その他にも、渦巻きが簡単にできるしくみはたくさんあります。

渦巻きは自然にできてしまうわりには、結構きれいな形なので、昔から人の目を引いたのでしょう。どうも、人間は渦巻き模様を好む性質があるようです。そのため、古代から、いろいろな遺跡や器、装飾品に、渦巻きはたくさん出てきます。一度、インターネットで調べてみると、いろいろなものが出てきて楽しいですよ。ぜひやってみてください。

(大阪大学大学院生命機能研究科教授 近藤 滋)


図 渦巻きができるしくみの例。

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