GPSのしくみを教えてください

3個の人工衛星との距離から現在位置を割り出す

GPSは、アメリカが運用する「全地球測位システム」です。高度約2万kmで地球の周りを回る24個の人工衛星を使って、誤差数m~数十mで位置を測定します。衛星は、搭載された原子時計の正確な時刻と軌道上の位置に関する情報を電波に乗せて送っています。原子時計の誤差は30万年に1秒という正確さです。
具体的な測定方法を説明しましょう。3個の衛星が同時に発射した電波をGPS機能を内蔵したスマホやカーナビなどの端末が受信するまでの時間を測り、各衛星との距離を計算します。電波は光と同じく、1秒間に2億9979万2458m(約30万km)進みます。電波が届くのに0.1 秒かかったとすると、その距離は約2万9979kmとわかります。3つの衛星との距離を測ると、図2のような3つの球面ができます。この3つの球面の交わる位置が端末の位置というわけです。ただし、端末の時計は衛星の原子時計のように正確ではないので、追加でもう1個の衛星の電波を受信し、端末の時刻と衛星の原子時計の時刻を正確に合わせています。
衛星測位システムにはGPSの他、ロシアのグロナス、試験運用中のヨーロッパのガリレオ、中国の北斗、日本の準天頂衛星システムなどがあります。そのため、衛星測位システムをGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)と呼ぶようになってきています。また、地震予知のために地面のわずかな動きを測る場合や、今後普及する車の自動運転などには数mm~数cmの精度が必要になってきます。そのため、測位データを精密にするしくみも取り入れられ始めています。
(白鳥 敬)

図1
GPS衛星は、高度2万kmの6つの軌道に4個ずつの衛星が配置されている。
この他、予備衛星を含めて31個ほどの衛星が地球の周りを回っている。

図2
3個の衛星の電波の到達時間から距離を求める。
3つの球面が交わる位置が端末の位置だ。

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