アメリカではよく竜巻が起きているようですが、日本ではどうして少ないのですか。

日本でも竜巻は起きています。特に9月が多く、毎月発生しています。  

日本でも竜巻は起きています。アメリカでは陸上の竜巻、海上の竜巻、上空の竜巻で呼び名が別々ですが、日本ではそうした区別はせずに、陸上、海上、上空で起きたもの全てを竜巻と呼んでいます。

日本では1991年~2008年の18年間に発生した竜巻、ダウンバースト、ガストフロントを含めた突風は508件あり、1年あたりの発生数は28.2個(うち竜巻は年間約11件) 一方、アメリカでは1年あたりの発生数が約804個(1980年~1990年平均)ですから、一見、日本の竜巻はかなり少ないといった感じもします。しかし、アメリカの国土の面積は日本の約25倍もあるので、単位面積あたりの発生数を考えると、アメリカの竜巻の発生数は日本の約2.9倍ということになり、決して日本が竜巻のない国、極端に少ない国ということはありません。

日本の竜巻は月別の統計では9月の発生が多くなっています。次いで10月、8月、11月、7月の順になっています。全く発生しないという月はありません。日本の竜巻は、寒冷前線に沿って発生する寒気竜巻と、台風や発達した低気圧に伴って発生する暖気竜巻があります。日本列島に台風が接近すると、台風の前面に暖かい空気が流れ込んで大気の状態が不安定になるため、台風接近時には竜巻が次々と発生しやすくなる傾向があります。さきほど述べた月別発生数が台風の多い時期と重なっているのは、そのことと関連しているといってよいでしょう。

1999年9月の台風18号(熊本で高潮被害により12名死亡)のときに、台風が通過した九州や山口県とは遠く離れた愛知県豊橋市で起きた竜巻は、住宅全壊41、半壊2619、負傷者384名という大きな被害を出しました。このときの竜巻の規模は、藤田スケールのF3となっています(左の表を参照)。

左:日本での年別竜巻被害発生件数(1971~2004)
右:日本での月別竜巻被害発生件数(1971~2004)
提供:気象庁

藤田スケール:竜巻やダウンバーストの規模を被害状況から推定するため、シカゴ大学の日本人学者、藤田哲也氏が1971年に考案した基準。日本ではF4以上の竜巻はまだ観測されていない(アメリカはF4やF5の大規模のものがある)。

戸山 九 (気象予報士)

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