調査するための「内陸旅行」(2025年6月号)

地球の一番南の「南極」で、気象・地質・生物など、さまざまな地球環境を調べている南極観測隊。「南極通信」では、隊員たちが現地から、南極での活動やくらし、研究の様子をコカ読者に届けてくれるよ!

今月号のレポートは……
第66次 重点研究観測 井上 崚

南極氷床内陸を移動する車列

 南極の氷は、何十万年もの間に降り積もった雪が押し固められてできています。その中には、昔の空気や目に見えない小さなチリ(エアロゾル)が閉じ込められていて、過去の地球の環境を知る手がかりになります。南極地域観測隊は、100万年以上前の環境を調べるため、2017年以降、昭和基地から約1000 km離れたドームふじまで内陸旅行を行いながら、アイスコア(円柱状の氷)掘削の準備を進めてきました。

 内陸旅行では、圧雪車や雪上車で200t近い物資を引き、約1000 kmの道のりを時速10 kmほどで2〜3週間かけて移動します。チームは、アイスコアを掘る観測系(10人程度)と、車両、調理、医療などを担当する設営系(6人程度)で構成されます。また、移動中には、前の旅行以降の積雪量を調べたり、自動気象観測装置の点検をしたりと、南極の現在の環境を知るための観測も行っています。

ドームふじ観測拠点Ⅱの外観。黄色い屋根幕で覆われた建築物が掘削場。写真右側は、食堂や寝泊りをする車両・モジュールが並ぶキャンプ地
掘削場の内部と掘削されたアイスコア

レポート 第66次重点研究観測 井上 崚
掲載協力/国立極地研究所

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子供の科学 2025年 6月号

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