木星の環はなぜあるの?

たくさんの小さなちりが木星の周りを回るから

惑星のリングといえば、大きくてりっぱな土星の環が有名ですが、実は木星にも小さな環があります。1979年、ボイジャー1号が木星に接近したとき、かすかに淡く光る環を初めて発見し、研究者を大変驚かせました。土星の環が大きな氷や岩の塊でできていて、とても明るく輝いて見えるのに対し、木星の環は粉末状の、ほこりのようなちり粒からできているので、とても薄くて暗く見えます。そのため、地上の望遠鏡では見えないほど淡かったのです。
では、なぜ木星には環があるのでしょうか? 環のメカニズムについては、まだわからないこともありますが、流星の元となるような小さな物体が、木星の近くを公転する衛星にぶつかって粉々になり、それらが環をつくっているのではないかと考えられています。木星の周りには、木星がつくられたときの材料の残りや、衛星をつくった小さな岩のかけらや砂粒の残りがたくさんあります。それら同士が衝突したり衛星にぶつかったりすると、大きなかけらは衛星の引力にとらえられますが、軽くて小さなちり粒は飛び散り、衛星と一緒に木星の周りを回るようになります。やがてそれらが環となるのです。ガリレオ探査機によって、ちりの帯が衛星の軌道上に広がっていることも確認されました。
しかし、そのような小さなちり粒は、公転する間に木星に向かってだんだん移動していってしまうので、拡散して、環はいつかなくなってしまうはずです。消失しないのは、衝突がときどき起きていて、ちり粒が新しくつくられるからではないかと考えられています。実は同じような理由で天王星、海王星にも細い環があるんですよ。
(室井恭子)

木星の環ができるしくみ

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