吸血したダニが大きくなるのはなぜ?

多くの血を吸うために皮膚を厚くしているから

一般的に、脚が4対でクモの仲間(クモガタ類)であるマダニのメス成虫は、産卵のために吸血します。満腹になると、体重は吸血前と比べて約100倍も増加し、体の体積も約100倍になります。
マダニは吸った血液の水分を濾過して動物に戻し、赤血球などの成分だけを自分に取り込むため、すぐに満腹にはなりません。例えば、フタトゲチマダニというダニの場合は、7日間、動物に口器を差し込んで血を吸い続けることができます。しかし、最初の5日間は、摂取した栄養をダニ自身の体の皮膚に付け足して厚くつくり直すことに使っています。体を膨らませる準備ができた後、最後の6~7日目で、急激に吸血して体が膨張します。
脚が3対である昆虫の仲間の蚊のメス成虫も動物から吸血しますが、血液をすべて溜め込むので、すぐに満腹になってしまいます。蚊の産卵数は一般に100~200個であるのに比べ、マダニはより多くの血液の成分(栄養)を取り込めるので、1匹のメスが数千、種によっては2万を超える卵を産むものもいるというわけです。
(法政大学自然科学センター教授 島野智之)

写真はタカサゴキララマダニ。
左から、吸血後のメス、未吸血のメス、オス。
(写真提供/山口大学 高野 愛)

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