キュウリのイボイボはなんのためにあるの?

熟す頃に目立たなくなることから若いときに動物から身を守るためだと考えられる

日本のキュウリは、かなり早く収穫して、小型で未熟な果実が出荷されるのが特徴です。現在では全国的に重さが100g、大きさが21cm程度のものが求められ、農家ではこのサイズを維持するために、夏場には午前、午後と1日2度収穫する必要があり大変です。キュウリはイボがしっかりしている方が新鮮だとされていますが、調理・加工にはイボが邪魔なため、最近はイボなしキュウリもつくられています。

写真はキュウリの雌花ですが、この時期の幼果はイボが明瞭で、中心部にトゲがあるのがわかります。キュウリのイボはトゲが生えていた名残なのです。それではイボ(トゲ)は何のためにあるのでしょうか?

野生のキュウリはトゲの強いものが多く果実も苦いのが一般的です。はっきりとはわかりませんが、トゲや苦味はキュウリの果実が小さなうちに動物などに食べられなくするためだと考えられています。果実が充分熟し、内部の種子が充実するころになると、苦味が消え、イボ(トゲ)も目立たなく、食べ易くなります。それで動物たちに種子を遠くに運んでもらえるようになるのです。

丸尾 達 (千葉大学園芸学部 准教授)

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