星までの距離はどうはかるの?

年周視差や銀河の光を調べて計測する

距離の計測の基本は2つの場所から見ることです。私たちが遠近感を感じているのは、2か所からものを見ているからです。例えば、手に鉛筆を持って、左右、片目ずつ見ると、その位置が背景に対してずれて見えます。このとき、鉛筆を顔から遠ざけるほど、ズレは小さくなります。星までの距離もこのズレの大きさ(「視差」)を利用して計測できます。
しかし、星まではあまりにも遠いので、数cmしか両目が離れていない人間の目では、どの星が近くて遠いのか差がわかりません。もっと2か所の間隔を広げる必要があります。そこで、星を見る場合は、1か所を地球、もう1か所を半年後の地球にするのです。地球と太陽の間の距離は約1億5000km。地球が太陽の周りを公転して半年後には、その倍の約3億km離れたところに移動しています。この2か所から同じ星を見ると、背景の星々に対して位置がずれて見えるというわけです。これを年周視差といい、この方法で測れる最も遠い星の1つが、はくちょう座のデネブで約1400光年です。これより遠い星は視差が小さすぎて、ほとんどズレがわかりません。
それではさらに遠い星や銀河はどうやって測るのでしょう? いろいろな方法がありますが、その1つがエドウィン・ハッブルが発見した「ハッブルの法則」です。彼は遠くにある銀河ほど、速いスピードで遠ざかっていることに気づきました。救急車が通り過ぎるとき、サイレンの音が低くなりますね。光の場合、遠ざかっていくと赤くなるので、銀河の光を調べることで遠ざかる速度、つまり距離がわかるのです。この方法で現在は、約134億光年遠くの銀河まで測れるようになりました。
(室井恭子)

年周視差の観測

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