風力発電の風車の羽根はなぜ3枚なの?

効率・コスト・安定性など、総合的に考えて3枚になっている

確かに、風車の羽根は3枚のものが多く見られますね。なぜ3枚なのでしょうか。
風車の羽根の役割は、風が持っているエネルギーを回転する力として取り出すことです。取り出した回転力は歯車で回転数を上げ、発電機に伝えて発電します。
そのため、風車として最適な設計は、羽根の枚数・形・ねじりの角度を工夫して、もっとも空気抵抗が少なく、羽根を回す力となる揚力が最大になる組み合わせであるといえます。ただし、実際に発電の手段として使う場合、効率はもとより、振動や騒音、環境への配慮、メンテナンスの費用なども考慮しなければなりません。
実は風のエネルギーを取り出すことだけを考えるなら、羽根の枚数は1枚でも2枚でもよいし、4枚以上でもよいのです。
1枚羽根は、空気抵抗が少なくてすみますが、片方に重さがかたよってしまい、バランスよく回すには工夫が必要になります。2枚羽根は3枚羽根よりは空気抵抗が小さく、重量も軽いという長所がありますが、騒音が少し大きくなります。4枚羽根は強い力を生み出すことができますが、風車が重くなりコストもかさみます。また、4枚よりも多いものだと、弱い風でも回転し、回転力が強いので水をくみ上げる用途などに適していますが、重くなるので現在はあまり使われていません。
このように比較した結果、3枚羽根が、性能とコストのバランスが最もよく、回転も安定した最適の形だったのです(図1)。
この他、風車にはプロペラを使わないタイプもあります。羽根を縦に配置したタイプ、円筒形タイプなど、風のエネルギーを効率よく使うためのさまざまな工夫が行われています。
(白鳥 敬)

図1
アップウインド型とダウンウインド型 

最も一般的な3枚羽根のプロペラ型風車にもよく見ると2種類あり、
風向きに対する向きによってアップウインド型とダウンウインド型に分けられる。

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