爪の根元部分はなぜ乳白色なの?

血流の流れから遠く、コラーゲン線維も乱れているから

爪の根元の白い部分は「爪半月」と呼ばれています(①)。爪甲(②)と呼ばれる部分を指で押しつけるとピンク色から白色に変化しますが、爪半月部は乳白色のまま変わりません。このことから、爪半月部の色は血液の色を反映していないことがわかります。爪甲部はタンパク分子であるコラーゲン線維からできています。その線維が規則正しく走行しているので透明性を帯び、その下を走る血流の色が現れてピンク色に見えるのです。
一方、爪半月も同じコラーゲン線維でできていますが、その走行が乱れています。この乱れには理由があります。爪は、爪根の一部の爪母(③)でつくられ、徐々に先端へ伸びていくのですが、爪半月部でもその下の爪床(④)と結合して爪の一部をつくっているからなのです。血流から比較的遠いこともあり血流の色が現れにくく、さらにコラーゲン線維の走行も乱れているので、結果として乳白色に見えるのです。
(防衛医科大学校教授 西田育弘)

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