危ないときにヒヤッとする感覚ってどうして起きるの?

ヒヤッとするのは脳による誤認の一種

突然危険にさらされたときだけでなく、熱いお湯の湯船に浸かったとき、寒い所でオシッコをし終えたとき、発熱するときなども、同じように「寒さ」を感じ(悪寒)、皮膚に鳥肌が立ち(立毛筋収縮)、ブルブルと震える(戦慄)という一連の反応が起こります。
「寒さ」を感じるのは、皮膚の温度受容器が寒冷刺激されたときだけでなく、脳にこうした情報が入ったときでも、大脳皮質頭頂葉の中心後回にある一次感覚野の冷覚の知覚野(図)が反応して、「寒い」と感じます。つまり、体感する温度とは関係なく、脳の冷覚の知覚野が反応すると「寒い」と感じるという、脳による誤認の一種なのです。ヒトの感覚のあいまいさがわかるおもしろい現象ですね。
突然危険にさらされたときには、脳底部にある視床下部の背内側核が強く応答します。ここから交感神経中枢を経由して立毛筋収縮が起こり鳥肌が立ち、運動神経を経由して骨格筋の等尺性収縮による戦慄が起こり、さらに大脳皮質の冷覚の知覚野へも連絡されるため「ヒヤッ」と感である悪寒感覚が発生すると考えられています。
(防衛医科大学校教授 西田育弘)

脳の断面図。
危険を察知すると視床下部の背内側核が反応し、
大脳皮質の冷覚の知覚野につながっているため「寒さ」を感じる。

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