花粉の多い少ないはどう予測するの?

夏の気温や日照時間、降水量などの条件から計算する

毎年春になるとスギ林やヒノキ林から多くの花粉が風で運ばれ、都会にも降り注ぎます。「日本列島がくしゃみする」といわれるほどですが、年によって飛散する花粉の量は変化し、極端に多くなったり少なくなったりすることもあります。

変化の原因のひとつは夏の気温にあります。スギやヒノキは、夏の気温が30℃以上になると、雄花のつぼみをたくさんつけます。つまり、それだけ花粉もたくさんできるということになります。花粉は、次の年の2月ごろから飛散を始め、3月を中心に都会にも降り注ぎます。ときには地面が黄色くなるほどです。

図1は、千葉県船橋市における過去20年間のスギ・ヒノキ花粉の総飛散数と前年夏の最高気温平均値を示したものです。過去20年間を見てみると、2005年や2011年は前年夏の最高気温平均値が32℃を越え、総飛散数も2011年には20年間の平均の約4倍にあたる1万4000個以上を観測しています。一方、夏の最高気温平均値が28℃以下で雨が多く、日照時間も少なかった夏の翌年は、雄花のつぼみがあまりできなかったため、花粉が少なくなっています。2004年では、総飛散数は極端に少なく、わずか500個に過ぎません。

この図の気温と総飛散数との相関から予測式を導いて計算すると、2016年の予測数は5892個になります。気温だけでは実際の予測に不充分ですが、いろいろな気象因子(日照時間、降水量など)も加えて計算すればもっと正確な予測が可能になります。

(NPO花粉情報協会事務局長 佐橋紀男)

図1 千葉県船橋市における過去20年間のスギ・ヒノキ花粉総飛散数と前年夏の最高気温平均値

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