潜水船はどうやって深海まで潜っていくの?

浮力よりも重いおもりを載せて潜る
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 日本を代表する潜水調査船「しんかい6500」を例に説明しましょう。「しんかい6500」は、名前の通り、深さ6500mまでの海に潜ることができる潜水調査船ですが、そのまま海に入っても、深海へ潜っていけません。なぜでしょう? 写真1は潜水船のカバーを外したところですが、番号の書かれた、黒っぽいものが見えます。これは潜水船に取り付けられている「浮力材」です。潜水船には、たくさんの浮力材が取り付けられていて、この浮力材の水に浮かぼうとする力で潜水船は深海から水面に戻ってくるしくみになっています。

 この浮力材の正体は小さなガラスの球です。大きさが100μm(1μmは0.001mm)以下、電子顕微鏡を使わないと見えない大きさですが、この球は中が空洞で空気が詰まっています。この小さな球をたくさん集めて、合成樹脂という接着剤のようなもので固めたものが浮力材です。潜水船はこの小さなガラスの球に詰まった空気の浮力によって、深海から水面まで戻ってきます。「しんかい6500」は「浮力材」の浮力のため、そのまま海に入っても潜れません。では潜るためには…そう、浮力よりも、潜水船の方が重ければよいのです。では、どうやって潜水船を重くするか…答えは簡単。たくさんのおもりを潜水船に載せるのです。
 おもりを載せると潜水船は重くなり、浮力材の浮力よりも重くなると海に沈みます。潜水船が海に入る前に、写真2の「バラスト」という鉄のおもりを載せることで、潜水船は深海まで潜っていくことができるのです。でもたくさんのおもりを載せたまま沈んでいくとそのうち海の底にぶつかってしまうので、潜水船のパイロットは海底が近くなるとおもりの半分を潜水船から切り離して、浮力材の浮かぶ力と残ったおもりの重さが釣り合うように調整します。そして、調査が終わると、残りのおもりを切り離し、浮力材の浮力で水面に戻るのです。

(JAMSTEC海洋工学センター運航管理部 探査機運用グループグループリーダー 吉梅 剛)


しんかい6500。(すべて写真提供/ JAMSTEC)

カバーを外すと番号の書かれた黒っぽい浮力材が現れる。


潜水船に載せるバラストというおもり。

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