古武術の動きを取り入れるとスポーツが得意になるって本当ですか?

古武術を取り入れているスポーツ選手はたくさんいます

古武術は、江戸時代の終わりごろまで行われていた武術のことで、その古武術からヒントを得た体の動かし方をスポーツに取り入れて、好成績を収めている選手がたくさんいます。野球、サッカー、卓球、スピードスケートなど、特に種目が限定されるわけではなく、あらゆるスポーツに取り入れられています。
昔の武士は、重い鎧や刀を持って長い距離を歩いて戦をしていました。また農民は、機械なしに毎日農作業をしていました。しかもそれが日常なので、すぐに疲れるようでは戦や生活になりません。その時代の人たちの体力は、現代人とは比べものにならないくらい高かった可能性があります。
しかし、昔の人は今の人よりも体が小さく、トレーニングなんてしていません。ということは、小さな体やわずかな筋力で、長時間動き続けたり、重たいものを持ち上げたりできたということになります。そんな重労働が当たり前だったころの人たちは、どうやって動いていたのか。今の人たちが忘れてしまった効率のよい筋肉の使い方や動き方がたくさんあるのではないか。そこからヒントを得て、それをスポーツの動きに当てはめることで、もっと素早く、力強く動けるようになる可能性があります。
試しに、①肩甲骨(背中にある骨)を大きく前後・上下に動かす練習、②壁に足のつま先と胸をつけて立ったりしゃがんだりする練習(図)、③足の指を思い切り開いたり閉じたりする練習、などをしてみてください。特に②は、お尻がちゃんと働くような動きができないと難しい動きです。これが楽にできるようになると、いろいろな動きがすごくよくなる可能性があります。ぜひ試して、自分の体の可能性を広げてください。
(びわこ成蹊スポーツ大学スポーツ学部教授 高橋佳三)


壁に向かって立ち、足は肩幅くらいに広げ、つま先は壁にぴったりとくっつける。
手は太ももの横か腰骨に当て、胸が壁から離れないよう、ゆっくりとしゃがんだり立ったりする。
和式トイレで座るような感覚で、できる限り深くしゃがもう。
腰が反ったり、かかとが地面から浮いてしまわないよう、注意しよう。

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