新聞に日が当たると茶色くなるのは?

成分のひとつが酸素と反応するから

紙は植物などの繊維を原料としてつくられていて、その成分はおもにセルロースと呼ばれる物質。でも、このほかにも植物が持っているいくつかの成分が含まれている。そのひとつに、植物の細胞をじょうぶにしたり、繊維同士をくっつける働きをするリグニンという物質がある。リグニンは成長する植物の体内でつくられるが、植物が死んだ後で空気中の酸素と反応して、黄色~茶色に変色する。これが、紙を茶色に変色させる原因だ。

リグニンは、乾燥した木材にだいたい20~30%ほど含まれているが、白さが必要な高級紙をつくるときには、その大部分が化学的な処理で取りのぞかれる。また、もともとリグニンの少ない木の皮でつくった和紙や特別な高級紙は、リグニンの量がとくに少ないので変色しにくい。ところが、新聞紙はほとんど使い捨てにされるため、安くつくる目的で処理を簡単にしている。つまり、普通の紙よりもリグニンが多く残っており、とくに変色しやすく、目立つというわけだ。なお、リグニンが変色する反応は、光の刺激を受けたり、湿気や温度が高いと早く進む。日光に当てた紙がより早く変色するのはこのためだ。

山村 紳一郎 (サイエンスライター)

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