ネコはなぜ体中をなめる?-もっと知りたい!イヌネコのふしぎ

 ネコは、ひまさえあれば体中をなめています。この行動は「グルーミング」と呼ばれ、なぜ行うのかについてはさまざまな説が語られています。

 たとえば、「感覚をとぎすますため」という説があります。ヒトに飼われる以前、ネコは獲物をつかまえなければエサにありつくことはできませんでした。確実に獲物を捕らえるためには、体中の感覚をとぎすます必要がありますが、毛がよごれていたり、抜け毛がからんでいたら、毛のセンサーとしての機能がにぶってしまうでしょう。そこでていねいに毛づくろいをして、よごれや抜け毛を取りのぞき、するどい感覚を保っているという説です。

 また、ネコの祖先とされるリビアヤマネコが、暑い地域に分布することに注目して、毛づくろいは「体温調節を目的に行われている」という説もあります。毛づくろいをして体中をなめると、毛に唾液がつきます。とくに暑い地域ではすぐに乾燥するので、気化熱が奪われて体温を下げることができるという考え方です。夏に打ち水をしてすずしくなるのと同じ理由ですね。

 このほか、体をなめることで皮膚の血流をよくしたり、静電気を除去したりしているといった説も語られていますが、その理由は明確に明らかになっていま せん。

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取材・文

斉藤勝司 著者の記事一覧

サイエンスライター。1968年、大阪府生まれ。東京水産大学(現東京海洋大学)卒業後、ライターとなり、最新の研究成果を取材し、科学雑誌を中心に記事を発表している。著書に『がん治療の正しい知識』、『寄生虫の奇妙な世界』、『イヌとネコの体の不思議』、『群れるいきもの』などがある。

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