ペットとしても大人気!ウサギの食事を学ぼう【前編】

 学校で飼育されているウサギとふれあっている子も多いと思いますが、じつはお家のペットとしてもウサギは大人気。子供の科学編集部にも、飼っているウサギの話を書いたおたよりが届くことがあります。

 そこでここでは、ウサギを飼う上で絶対知っておきたい食事のことについて紹介しましょう。これからウサギを飼ってみたいという人はもちろん、学校の飼育係になったときなどにも役立ちますよ。

ウサギの生態と食事

1 ウサギは草食性

 ウサギは主に草本植物
そうほんしょくぶつ
(いわゆる草の葉っぱ)を食べている草食性の動物です。

 ウサギの消化器官は植物を食べるための独特の進化をしています。繊維質
せんいしつ
の多い植物をすりつぶすことで歯はすり減りますが、伸び続けるので歯がなくなることはありません。植物の細胞を分解して栄養にするため、ウサギの消化管の中には微生物が
みつき、細胞を分解、発酵
はっこう
させています。

 こうした働きがあるからこそ、ウサギは植物の栄養を摂取
せっしゅ
することができるのです。

ウサギは草食性の動物。

2 食にまつわる行動

2-1 食事時間は早朝と夕方

 野生下のウサギは夕方から夜明けにかけての時間帯に食事をしています。飼育下では、朝6時と、夕方4時から6時にかけてよく食べているという観察の記録があります。ウサギに食事を与える時間は、こうした採食
さいしょく
のリズムがあるため、朝と夕方以降がよいとされています。

2-2 貯食はしない

 貯食
ちょしょく
とは、集めた食べ物を自分の巣や行動範囲のさまざまな場所に貯蔵
ちょぞう
しておくことです。ウサギの仲間のなかでもナキウサギ(日本では北海道にエゾナキウサギが生息)は夏から秋にかけて、草の葉や花、キノコなどを冬に向けて貯食します。ナキウサギ以外のウサギはこうした行動をすることはありません。

2-3 巣材を運ぶ

 妊娠
にんしん
したメスウサギは子育てをするため、巣材
すざい
として草を巣穴に運び込み、自分の体の毛をむしって
き詰め、暖かな寝床
ねどこ
を作ります。飼育下でも牧草を口にくわえて運ぶ姿を見ることがあります。こうした行動は実際には妊娠していない「偽妊娠
ぎにんしん
」のときにも見られます。

2-4 食べ物での「学習」

 動物には学習能力があります。「あること」をすると「いいこと」が起こるという経験から、「いいこと」を起こしたいと思って「あること」をするようになるというものです。

 「いいこと」として大きな力を発揮するのが「食べ物」です。ウサギの名前を呼び、こちらに来たらおやつをあげていると、名前を聞くと「おやつがもらえる」と思ってウサギがこちらに来るようになる、というのがひとつの例です。

 キャリーの中に入ることに慣らすために、キャリーの中でおやつを与えることで、「キャリーの中にいるといいことがある」とウサギに学習させることもでき
ます。おやつを入れている容器を振る音を聞かせてからおやつを与えていれば、その容器の音がするとすぐにこちらにくるようにもなります。こうした学習をさせておくと、とっさのときにウサギをこちらに呼ぶのに活用することもできるでしょう(いたずらをしそうになっているのをやめさせるときなど)。

 このように学習能力はいいことにも使えますが、困ったことを学習してしまうこともあります。よくあるケースは、「ケージの金網
かなあみ
をかじる」というものです。ウサギが金網をかじっているとき、飼い主がそれをやめさせようとしておやつを与えたりすると、ウサギは「金網をかじるとおやつがもらえる」と学習し、しつこく金網かじりをするようになってしまう、というようなことがあるので注意しましょう。

3 野生ウサギの食性

 飼育下のウサギの食事を考えるために、野生のウサギが何を食べているのかを知っておきましょう。野生下とまったく同じものを与えることはできませんが、重要なポイントやエッセンスは取り入れることができます。

 おもに食べているのは、イネ科やマメ科、キク科、水分の多い草の葉などの植物です。冬や過酷
かこく
な環境下では
くき
や芽、木の葉や樹皮
じゅひ
、植物の根などを食べたり、農園があればレタスやキャベツ、根菜
こんさい
穀類
こくるい
を食べたりもします。

 いくつかの資料から野生下で観察されている具体的な植物の種類を見てみましょう。

case1

 ウシノゲグサ、ヤマカモジグサ、メヒシバなどのイネ科植物を好む。十分に食べられないときにだけ、双子葉植物
そうしようしょくぶつ
を食べる。双子葉植物のなかではマメ科とキク科を食べる。(”Nutrition of the Rabbit”より)

case2

 冬には若い木や新芽を食べる。ジュニパー(セイヨウネズ)やコモンブルーム(エニシダ)のような低木を食べる。栽培された木のなかではリンゴ(バラ科)の樹皮を特に好み、サクランボやモモの樹皮も食べる。(”Nutrition of the Rabbit”より)

case3

夏:スイバ(タデ科)、オオヨモギ(キク科)、ヒゲスゲ(カヤツリグサ科)、ノカブ(アブラナ科)など

秋:シロザ(アカザ科)、イノコヅチ(ヒユ科)、カモジグサ(イネ科)など
(「ウサギ学」より)

 後編では、定番の食事メニューや与え方を紹介していきます!

(文/大野瑞絵 写真/井川俊彦)

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※本記事は『新版 よくわかるウサギの食事と栄養』を編集したものです。

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