第11回 「バーチャル空間でICT教育を加速する:「cluster」講座・体験ワークショップ」@東京大学メタバース工学部レポート! Part2

 みなさんこんにちは。クラスター株式会社広報のMIRINです。

 クラスターでは、さまざまな場所でcluster(クラスター)を楽しんでもらえるよう、ワークショップや講演を行っています。特に最近では、中学校や高校、専門学校などで、clusterの使い方やワールドの制作方法を伝えるイベントを開催しています。

 第11回は、前回から引き続いて、メタバースの概要から現在、実践を学ぶ、東京大学メタバース工学部ジュニア工学教育プログラムの講座として、2023年8月に開催された全5回の講義&ワークショップ「バーチャル空間でICT教育を加速する:「cluster」講座・体験ワークショップ(後援:東京大学VR教育研究センター)」の模様をレポートします。

メタバースの活動は将来の職業につながる?

 第2回は、クラスター社のエンジニア・倉井龍太郎が講義を行いました。講義は2部構成で、前半は倉井が経験してきたコンピューター、インターネットとの出会いになぞらえながら、メタバースが普及することで将来新しい職業の誕生につながること、そしてclusterで使われている技術について紹介していきました。

 倉井が少年時代を過ごした1995年当時は、まさにコンピューターやインターネットが一般家庭に普及していった時期です。「プロバイダー」を使うことでインターネットを閲覧できると知り、その使い方を調べ、ホームページを見て喜んでいたら、今度はそれを自分でつくることができるということを知り、そのためにはサーバーが必要で……と、「やりたいことを見つけて調べていく」ことで学んでいったそうです。

 つくりたいものがあると学ぶようになり、さらにそこでさまざまな人とコミュニケーションを取ることで楽しさが増し「さらに学ぼう」という気持ちが強くなるという、良いフィードバックが生まれていたと、自身の少年時代の体験を振り返りました。

 メタバースの特長は「想像できる立体物や環境はだいたいつくることができる」「技量があれば、だれでも作ることができる」「公開する場がある」「ユーザー同士のフィードバックもある」という点です。メタバースではいろいろな人に体験してもらい、楽しみながら主に3Dオブジェクトやプログラミング、数学について学ぶことができます。
 倉井は、メタバースの環境は、若い人にとって技術を学ぶのに必要なこれらのことが揃っており、自身が少年時代に経験したような「創造的なエンジニアリングを学ぶにふさわしい場所」だと話します。

 倉井は自分自身が現在ソフトウェアエンジニアとして活躍しているように、メタバースで学ぶことが将来働くための技術を身につけることにつながるのではないかと話しました。
 後半では、clusterで現在使われている技術の紹介や、エンジニアとしてメタバースを開発することの楽しさについても語りました。

 今回の講座を受講した人たちが、将来メタバースの開発をしたり、もしかしたら今は存在しないような新しい職業を生み出しているかもしれません。

「ワールド」が教育に役立つかも?

 第3回以降は、3Dゲームエンジンである、「Unity(ユニティー)」を利用したワールド制作のワークショップを行いました。

 今回の講座には「バーチャル空間でICT教育を加速する」というタイトルをつけ、「教育」という視点を掲げていますが、クラスターは元々教育を専門的に手がける会社ではありません。なぜ「教育」という視点を持つようになったかというと、ユーザーさんがアップロードされたワールドがきっかけになっています。

医療関係の方がつくった「食べ物が消化する流れ」を実際に身体の中に入って体験できるワールドを紹介しました

 これからclusterは教育関係者の方の意見を伺ったり、協力体制を築き上げながら少しずつ教育に対しての可能性を模索していきたいと話しました。そのきっかけとして「ワールド」を使うと教育にどのように役立てることができるのか、ふたつの道筋を示しました。

 ひとつは「ワールドで教育する」。

 これはclusterがどこからでもアクセスできることを利用して、遠隔授業に活用することです。そして、ワールドではさまざまなものを3Dで表現できるので、例えば、歴史上重要な出来事、地理的に貴重な場所、化学の実験など、現実では表現が難しいものを「体験」できるようにすることで、学習の補助教材として役立てられるのではないかと話しました。

 もうひとつは「ワールドをつくる」。

 これまでの講義で触れてきたように、3D技術を結集した「ワールド」を制作することは、頭の中のアイデアを形にする企画力、制作プロセスを理解する力、3D技術の習得など、あらゆる面で創造力や自発性を養うことに寄与するのではないかという考えです。

 clusterによる「教育」への取り組みは始まったばかりで、いろいろな課題もあると思います。ですが、少しずつ事例や「教材」として利用できるワールドを蓄積
ちくせき
していくことで、教育への活用可能性を広げていけるのではないかと話しました。

 最終回となる第5回では、ワークショップを受講して制作したワールドへ参加者のみなさんと遊びに行きました。中でも中学生の受講者が製作した深海をイメージした相談室のワールドは印象的でした。講義の最初で私たちが提示していたように、ワールド制作を通して、いろいろな学びやコミュニケーションにつながる可能性があることが伺えました。

中学生の参加者が制作したワールド。海の中にいるようです。

 clusterでは、今後も今回のような講義・ワークショップを行っていく予定です。興味のある方はぜひ参加してみてください。


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立教大学を卒業後、ゲーム・ラジオなどのエンターテイメント企業で宣伝・営業を担当したのち、2022年にクラスター株式会社に1人目の広報としてジョイン。クラスター社および社員やサービスの情報を日々発信している。

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