24時間使える「ソラヨミ」ガイド《夏の空の観察術》-自由研究スペシャル

夏休みは空と遊ぼう!

 日本では多種多様な空の姿を見ることができます。昼も夜もとてもおもしろく、変化に富んでいます。私は小学生のときにそれに気づき、以来ずっと空を見続けてきました。

 早起きしたときの澄んだ朝の空、日中にもくもくとわく雲、美しい夕焼け空、そして夏の夜空のたくさんの星や流星…空にはいろいろな楽しみがあります。

 そして、空と遊ぶのに道具はいりません。電気も不要です。外に出て、じっとながめるだけでよいのです。

 町中、山、海と場所によっても空の見え方はずいぶんと違います。ぜひ夏休みには、いろいろな場所で空を観察してみてください。太陽や月の出入りの時刻や、天気予報を参考にして、前もって空の姿を想像してみるのもいいでしょう。こんな風に空を読んでいく「ソラヨミ」 遊びはとても楽しく、大人になった今でも飽きることはありません。

 遊んだ後、自分でその日見た空を記録できれば、いい思い出になりますね。自由研究にもなります。同じ空は二度とありませんから、ぜひ残しておきましょう。最近のデジタルカメラは性能がよくなったので、ちょっと工夫をすれば空のいろいろな姿が写ります。この夏休みは、空の撮影に挑戦してみるのもいいでしょう。

【夜明け〜朝】一日のうちで空が一番美しいとき日の出前にがんばって起きて!

8月、富士山5合目

 空が一番美しいのは夜明けです。太陽が昇る約1時間前の、この空のことを知っている人は少ないでしょう。がんばって起きて、ぜひ見てください。昼の空とも夜の空とも違う、不思議な色彩の空に出会えますよ。

 その空が見られるのは太陽が出る方向で、夏は真東よりやや北の方になります。高い空の空気には、太陽が出る1時間以上前から太陽の光が当たっています。でも空気が薄いので、こうした暗い青色となり、地平線の方は空気がたくさんあるので赤っぽい色になるのです。この空が見られる時間帯を薄明といいます。

朝の見ものは朝焼け
独特の輝きは何度も見てほしい

■天気や湿度によって朝焼けの色は変わる

7月、千葉県

 日の出前20分くらいになると、高い雲が朝日で色づきます。だんだんと、高い雲から低い雲へと、10分以上かけて色が移っていき、そのようすで雲の高さの違いもわかります。

 朝焼けの色は、夕焼けの赤っぽい色とは少し違い、だいだい色や黄色が多く、雲の輝きも強く感じることが多いようです。朝の方が気温が低く、空気の汚れが少ないためでしょう。ぜひ、後からでてくる夕焼けの写真と比べてみてください。色の違いだけでなく明るさの違いも比べてみましょう。

朝の雲。山から見る朝の雲は、町よりさらにおもしろいものです。空が澄んでいて、ずっと遠くの雲まで色づいているのが見えます。雲海など下に雲が出ていることもあります。そして太陽が当たると雲が急に動きます(7月、北アルプス)

 雲がない場合は、朝焼け時に空が少し黄色っぽくなる程度で、あまり面白くありません。ただ、湿った梅雨の時期、雨や風のあと上空に高い雲が出ているときなど、その日によって朝焼けはずいぶん違います。だから、何度も見て欲しい風景です。

《自由研究のアイデア》いろいろな場所で朝焼けを見よう

 夏休みにお出かけできたら、ぜひ朝焼けを見てください(東の方角がよく見える場所で)。でも夏は太陽が出る時刻が早いので(東京で8月上旬は4:50頃)、その前に起きるのはたいへんかもしれません。

 さらに早く起き、流れ星を見て(朝に近いほど数多く流れます)、くわえて夜明けと朝焼けも見ることができたら、きっといい思い出になるでしょう。どんな空模様を何時に見たか、ノートに記録しておきましょう。写真を撮っておくと、後で見返すときに役立ちます。

山の朝焼け。山から見た朝焼けです。太陽が出る30分から20分くらい前に、雲が赤く輝きだしました。太陽に近い地平線の方にかけて明るく、色も変化しています。山の上からは、透明感のある朝焼けを見ることができます(6月、富士山5合目)。
海の朝焼け。海でも日の出の30分から20分前に、雲が朝焼けになりました。水蒸気が多く、山の朝焼けの鮮やかさに比べて低い雲が多く、やわらかい感じがします。海では風の向きで雲が変わり、朝焼けの様子は日ごとに違います(8月、茨城県)。

■朝焼けが赤いのは?

 太陽光線には虹の7色などたくさんの色が入っています。しかし、朝の太陽の光は、昼の太陽に比べて空気の中を、長い距離を通ってきます。そのため、青っぽい色が途中で空にちらばって少なくなってしまい、赤っぽい色が多くやってくるので、朝焼けや朝日は赤っぽくなるのです(まぶしい真昼の太陽は黄色です)。

新聞で日の出の時刻を確認し雲が元気な瞬間を眺めよう

■日の出の時刻は北へ行くほど早く、西は遅い

 夏の日の出は、東京で7月上旬が4:30ごろ、8月上旬は4:50ごろ、8月下旬は5:10ごろとだんだん遅くなっていきます。札幌ではこれよりも20分から30分早く、大阪では20分くらい遅く、福岡では40分くらい遅くなります。各地の日の出の時刻は新聞にも載っています。太陽が出ると急に気温が上がり始め、雲が動いていきます。雲がとても元気な瞬間です。

山の日の出。山に日の出(ご来光)を見に行く人がたくさんいます。うす暗かった地面がいっせいに明るくなるのには感動します。太陽の光を浴びると、その熱で体がポカポカと暖まり、太陽の偉大さを感じます(8月、栃木県日光)。
海の日の出。海からの日の出はゆっくりと明るくなっていきます。夏にはまぶしさのない太陽が出ることもよくあります。台風が去ったあとや雨上がりなどには特に美しい日の出が見られます。初日の出のころとは、空もずいぶん違います(8月、茨城県)。

【昼】都会で見るなら高層ビルの上からもおすすめ

8月、東京都

 夏の都会は空がかすんでしまい、雲がはっきり見えないことが多いのですが、強風時や雨上がりなどに、この写真のような美しい空と雲を見られることがあります。六本木ヒルズの屋上から撮影したものです。わた雲(積雲)が風に流されています。

昼の空は入道雲が主役迫力ある姿は夏の風物詩

■猛スピードで大きくなる様子を見てみよう

 夏の暑い日には大きな積雲(入道雲)がよく出ています。夏は気温が高いので水蒸気が多く、もくもくと上に成長する雲ができやすいのです。入道雲は、大きな積雲と積乱雲の両方にあてはまります。お坊さんの頭のような丸い形が雲の上部にたくさん並んでいる姿から、そうよばれるようになりました。

 よく見ると、そのひとつひとつが盛り上がり、雲全体が高くなっています。入道雲という状態は、雲が勢いよく上に成長している姿なのです。その速さは1秒間に10mを超えるほどです。

成長した入道雲。夏の最も暑くなる昼過ぎ、わた雲(積雲)が大きくなり、入道雲(積雲)になりました。数十分で雷雲(積乱雲)になるかもしれません。こんな雲が見られたら、雷雨の心配があるので、外にいるときは気をつけてください(7月、長野県)。

《自由研究のアイデア》雨になるサインを見逃すな!

 暑くて晴れた夏空の変化をよく観察しましょう。低気圧や台風が近づいてくるときは、雲にも変化が現れます。ここで紹介する雲の写真は、雨が降りやすくなる(天気がくずれる)前によく見られる雲です。山などにいたら天気予報を気にして、悪天への備えも必要になります。夏に秋に出るような雲を見たら、天気が変わりやすいと思ってください。

■天気の変わり目、入道雲

 背の高い大きな入道雲が並んで見られたら、激しい雨が続く心配があります。台風や寒冷前線の接近のサインであることもあります。まもなく大雨(雷雨)になるかもしれない怖い雲です。

7月、千葉県

■天気の変わり目、うろこ雲(巻積雲)

 秋に空が高くなったと感じる頃に出る雲で、高い空に強い風が吹いているときにしばしば出ます。この高い空の風によって、低気圧がやってきて天気が悪くなっていく心配があります。

8月、富士山

■天気の変わり目、すじ雲(巻雲)

 太平洋高気圧におおわれている夏はあまり出ない雲です。低気圧がやってくるときや台風がやってくるときに、この雲が真っ先に見えてきます。高い空で小さな氷の粒が落下しながらなびいています。

8月、千葉県

《自由研究のアイデア》飛行機雲で天気の変わり目を予測しよう!

 飛行機雲は、空の高いところ(1万m付近)を飛ぶジェット機の排気ガスに含まれる水蒸気とチリがつくった、小さな氷や水の粒からできた雲です。空気が乾燥しているときは、飛行機雲はできないか、できてもすぐに消えていきます。飛行機雲がずっと残ったり、それが大きくなっていくのは、高い空の空気が湿っているためで、低気圧が近づいてくることが多いのです。だから飛行機雲が空に大きく残っているときは、今晴れていても天気が悪くなっていくと思ってよいでしょう。

■だんだん消える飛行機雲

 よく見る飛行機雲のようすです。2つあるエンジンの後ろに、やや離れて飛行機雲ができ、やや太くなっています。だんだん消えていきました。

このまま天気は変わらない。(7月、千葉県)

■成長する飛行機雲

 飛行機が去ってからしばらくたって、飛行機雲の幅が広くなっていきました。周りには高い雲があり、青空の色が少し白っぽく、空気が湿ってだんだん雲が増えていきそうな感じがします。

曇りになりそう…。(6月、千葉県)

■曲がる飛行機雲

 高い空に強い風(偏西風)が吹いていると、飛行機雲が曲がることがあります。低気圧がやってくる可能性があり、今後の天気が心配になります。こういう日は、星の瞬きが大きくなります。

この後、雨が降るかも!?(7月、千葉県)

■消滅飛行機雲

 飛行機は雲をつくるだけでなく、雲を消していくこともあります。雲の中へ入っていく飛行機があったら、雲のようすをよく見てみましょう。

消えた!?(11月、千葉県)

飛行機に乗ったら雲を見るチャンス!

■上からのぞく? 間近で見ちゃう? まずは窓際の席をキープ

 雲は地表から高さ10kmくらいまでにあります。そして飛行機は、大型の旅客ジェット機なら10km付近まで上昇します。つまり飛行機に乗ると、雲を中から、そして上から見ることができるのです。いつも地表から見ている雲とはかなり違う姿を発見することができ、きっと興奮すると思います。

 飛行機に乗るときは、ぜひ窓側に座ってください。翼の近くは下が見えないので、前か後ろ側に席をとりましょう。太陽がとてもまぶしいので、太陽と反対側の方が雲を見やすいでしょう。しかし、朝日や夕日の頃は太陽が見える側もいいですよ。飛行機が離着陸するときは、さまざまな雲が横を通り過ぎ、とてもおもしろい光景です。

飛行機からの空。たいていの雲は下に見えます。高さ11km付近までを対流圏といい、その中に雲があります。その上は成層圏で、太陽の紫外線で気温が高くなるために雲がありません(8月、太平洋上空)。
飛行機からの積乱雲。夏休みに飛行機に乗ると、伸び上がる巨大な積乱雲に出会うことがあります。飛行機の飛ぶ高さまで迫っていて危険です。まるで火山が噴火したような姿です(8月、栃木県上空)。
飛行機からの雲海。空一面曇って青空が見えない日でも、飛行機に乗ると雲の上に出て、下に雲が広がります。これを雲海(うんかい)といいます。真ん中に薄く、雲虹が写っています(9月、本州上空)。
飛行機からの夕暮れ。地表で見る夕暮れよりも、色がずっと鮮やかです。下の方から赤・橙・黄・青・紫とグラデーションになっています。もちろん夜明けも同様の美しさです(9月、本州上空)。
グリーンフラッシュ。ちょうど太陽が沈む時刻に飛行機に乗ったら、地平線に消えていく太陽の上に、美しい緑色の輝きが見えました。空気による光の屈折で緑色が上に残ったためです(9月、北海道上空)。

写真・文

武田康男 著者の記事一覧

空の探検家 / 気象予報士 / 空の写真家
第50次南極地域観測越冬隊員(2008年~2010年)。全国と海外十数か国で空を撮影。大学で地学を教え、小中高校や市民講座で動画や写真を用いた講演を多数実施。本や雑誌等の執筆・監修・映像提供、テレビ・ラジオ出演など多数。

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【夕立と雷】稲妻も遠くから見たら 空のエンターテインメント

8月、千葉県

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