いよいよ発売開始になった「子供の科学のトポロメモリー」。「トポロメモリー」は、トポロジー的
に同じ図形が描
かれたカードのペアを見つけるゲームだ。ここでは、ゲームをもっともっと楽しんでもらうために、「トポロジー」とは一体何なのか、QuizKnock
“ナイスガイ”の須貝駿貴
さんによる解説
を紹介
するよ! 楽しみながら、数学的センスを磨
いちゃおう!
![](https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2021/11/sugai1-1024x683.jpg)
。「子供の科学」の読者OBでもある。
トポロジーの特徴は「やわらかさ」!
トポロジーという言葉を初
めて聞いた人も多いかな? みんなが算数や数学で図形を扱
うとき、長さや角度などを使って、三角形や四角形、円などの図形を「同じ形」、「違
う形」というようにグループ分けしているよね。これは「幾何学
」という学問の基本
的な考え方で、長さや角度が少しでも違ったら別の図形だから、ある意味、“きっちりした幾何学”ともいえる。
一方で、トポロジーはその特徴
から“やわらかい幾何学”と呼ばれている。直感的にいうと、図形Aをぐにゃぐにゃと変形
して図形Bと同じ形になれば、AとBは同じ図形とみなす考え方だ(下図)。
![](https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2021/11/カップ-修正-1024x225.jpg)
コーヒーカップとドーナツが同じ図形だなんて驚
きだよね。なんだか難
しそうにも思えるけど、実はみんなも無意識
のうちにトポロジカル(トポロジー的)なものの見方をしているはずだ。一番わかりやすい例
に、電車の路線図がある。
実際
の距離
や位置
ではなく、「駅(パーツ)と駅(パーツ)のつながり方」に焦点
を絞
ることで、駅の前後関係
がわかりやすく表示されているよね。こんな風にトポロジカルな見方をすると、ものごとの本質的
な部分や隠
されていた性質
を知ることができるんだ。
ほかにも、トポロジーといえば「メビウスの輪
」や「クラインの壺
」などの図形も欠かせない。こうしたおもしろい図形を考えるだけでもワクワクするよね。
![](https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2021/11/メビウスの輪-修正.jpg)
を貼
り付ければつくれるので確認
してみよう。クラインの壺はメビウスの輪の発展版
のようなもの。壺の内側をたどっていくと、いつのまにか外側に出ている不思議
な形。
ポイントは「何で見極めるか」
ここで気づいた人がいるかもしれないけど、トポロジーでは、穴
の数や表裏
など「どんな量
によってグループ分けするか」がポイントになってくる。
この量はぐにゃぐにゃと変形(難しい言葉でいうと「連続変形
」)しても数値
が変わらないことから、「トポロジカル不変量
」と呼
ばれる。ものごとをトポロジカルに見るときに重要
なのが、このトポロジカル不変量を見極
めることなんだ。パーツの数、穴の数、分岐
の数、結
び目の数、表裏の区別……といった具合にトポロジカル不変量はたくさんある。
![](https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2021/11/2010トポロメモリー説明1.jpg)
うまくこれを選
んで物質
や現象
を分析
することで、数学の分野を越
えて物理や化学でも新発見が次々と生まれている。近年発見された新物質「トポロジカル絶縁体
」はその代表例だ(下図)。かなり難しい内容
だけど興味
がある人はチェックしてみよう!
![](https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2021/11/2010トポロメモリー説明2.jpg)
な性質を持っている。物質内の電子の状態を表す「波動関数
」の中にトポロジカル不変量を見つけ、トポロジーの視点で分類することで予測・発見された。
トポロメモリーはこんな「トポロジカルなものの見方」を鍛
えるのにぴったりなゲーム。遊びながら、トポロジーの世界へ一歩を踏
みだそう!
本記事は、「子供の科学」2020年10月号掲載の記事を再編集したものです。
![](https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2021/11/20211008014757-768x566-1.jpg)
![](https://www.kodomonokagaku.com/wp-content/uploads/2021/11/トポロメモリー-アイキャッチ青グラデ-1024x576.jpg)