虹はなぜできる?

空気中の水滴が光を七色に分解

雨上がり、あるいはまだ雨が止んでいないときに日が射してきたら、太陽のある方向と逆の方向(太陽を背にして前方に雨が降っているとき)を見てみましょう。幸運な場合、きれいな虹の全体(主虹と副虹の2本の場合も)あるいは虹の橋の一部分を見つけることができます。しかし太陽の高度が高いと虹は低く小さくしか見えません。朝や夕方の方がきれいで大きな虹が見えます。

虹とは、赤から紫までの光のスペクトルが並んだ円弧状の光です。太陽の光が空気中の水滴によって屈折、反射されるときに、水滴がプリズムの役割をするため、光が分解されて七色の帯に見えます。雨上がり、水しぶきをあげる滝、太陽を背にしてホースで水まきをした時、霧吹きを使用したときなどによく見ることができます。 通常見られる主虹の色は屈折率の違いから、外側の赤から始まって橙、黄、緑、青、藍および紫です。 ときには2本目の副虹が現れることがありますが、この場合の色の配列は主虹と逆となります。また、副虹の色は主虹よりうすくなります。

さて、虹のできる大きさですが、すべて同じ大きさということはありません。これらは雨粒や雲や霧の水滴による光の屈折、反射でおこるもので、光の輪の視半径は光の波長と水滴の大きさ、規模に関係します。噴水のところにできる虹や霧吹きで人工的につくる虹は、虹を描く「スクリーン」が小さいためにその規模は小さなものです。自然界では夏の夕立のあとに現われる虹は大きなものとなります。筆者は夏の北アルプスの山の上空から、谷底の方まで、長くのびる虹を見たことがあります。また、太平洋側の虹の出現頻度は、夕立が止んだ後の夏場や暖候期が多くなりますが、日本海側では、夏場だけでなく初冬の時雨の雨がひとしきり降った後、日がさしたときによく出たりします。これも筆者は、11月下旬に新潟県と山形県境付近の海岸で見たことがあります。

戸山 九 (気象予報士)

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