《自由研究のテーマにも!》水棲ガメを飼ってみよう!

クサガメをはじめ、古くからペットとして親しまれてきた水棲ガメ。爬虫類でも幅広い層から愛されているグループです。上手に泳いだり、陸場で四肢を伸ばして甲羅干しをしていたりと、観察していて楽しい生き物で、餌をねだってくるなど愛嬌もあります。カメならではの特殊能力も満載で、知れば知るほど楽しいペットです。

カメっておもしろい!

知っておくとますます虜になるカメのふしぎ

 カメの最大の特徴である甲羅。主に外敵からの防御のために備わったもので、肋骨にあたる骨が変化して骨格部分(骨甲板)を形成し、ケラチン(人間でいう爪など)で全体が覆われているパーツ(角質甲板)です。ただし、スッポンのように「砂に潜る」種類や、外洋を遊泳するオサガメなど「よく泳ぐ」カメには硬くて重い甲羅が備わっていません。カメは基本的に肺呼吸を行いますが、オーストラリアの流れの速い川で暮らすハヤセガメは特殊な種で、急流の川底で暮らし、総排泄腔呼吸(総排泄腔内にある粘膜嚢に水を組み上げ、その器官に並ぶ小突起を通すことで血液中に溶存酸素を溶け込ませる)により、必要な酸素を取り込むことができるという例外的な種もいます。

 一方、北米大陸に分布する水棲ガメには氷の張った湖などの水底で、春までじっと過ごす種がいます。息継ぎをしなくてよいのでしょうか。冬眠中はほとんど動かないので必要な酸素量は少なく、総排泄腔呼吸(ハヤセガメとはやや異なる方法で、水を吸い上げるのではなく拡散させる)を行うことで生命活動を維持しています。水棲種は総排泄腔内だけではなく、皮膚や咽頭に毛細血管が集まっていて、これらから酸素を取り込み、長時間水面に上がらなくても活動できるようなしくみを備えています。私たち人間も含め、活動に伴って発生する乳酸という酸性物質は、排泄や呼吸で体外に出していますが、カメは排泄だけではなく、血液中の酸性濃度が高まると、カルシウム塩やマグネシウム塩・ナトリウム塩などのアルカリ性物質を、それらが豊富に含まれる甲羅から放出したり、逆に取り込むことで中和することも知られています。その機能のおかげで寒い冬季においても、水中でじっと過ごすことが可能になっているわけです。このように、カメの甲羅は防御以外にも大切な役割をはたしています。

 なお、カメの種類は甲板の枚数や形状によって判別できることがあるので、椎甲板(背中側の甲羅の中央に並ぶ甲板)や縁甲板(一番外側に並ぶ甲板)など、覚えておくとさらに理解が深まることでしょう。

カメの背甲
【愛らしいクサガメ】

 あまり知られていませんが、身近なクサガメの項甲板をよく見ると、どの個体もハート型をしていてかわいいです。野生でも飼育下でもクサガメを見る機会があったらよく観察してみましょう。
 甲羅の形にはさまざまなタイプがあり、ドーム型や蝶番があって箱型になるものや、攻撃性が高く活動力を得るために小さな腹甲(お腹側の甲羅)をしたものなどがいます。

箱になったチュウゴクセマルハコガメ
手裏剣のような形をしたトゲヤマガメ


 甲羅以外にもカメならではの特徴があります。カメに歯はなく、鳥類のように嘴を持っています。四肢の形状も生活スタイルによってさまざまで、ウミガメのようなオール状・しっかりと体を支えて闊歩できるゾウガメの太い四肢・水掻きが発達し泳ぎの上手な四肢(カブトガメなど)が知られています。

ミスジドロガメ

 カメはすべて卵生で、通常、陸地に穴を掘って産み落とします。性の決定には、温度依存性決定(TSDと呼ばれる。孵化温度で生まれてくる幼体の性別が決まる)と染色体性決定(CSD。孵化温度で性別が決定しない)の両方がありますが、カメには両方が存在し、種類によって異なります。ブリーダーさんたちはTSDを持つ水棲ガメを繁殖させる際、孵化温度を調整することで好きな性別を得ようとしています。

爬虫類の仲間でも特別な存在

 ペットとして国内外で古くから親しまれてきたカメ。同じ爬虫類でもヘビやワニなどと違って、かわいらしくのんびりしたイメージのため、広く愛されてきた動物といえるでしょう。近くの池で甲羅干しをしていたり神社の池に泳ぐカメを見かけた経験のある人も多いと思います。

 余談ですが、捕まえてきてかわいがっていたクサガメが逃げてしまい、しばらくしてから同じ場所へ捕獲しに行ったところ、逃げてしまった同じ個体を捕獲したという例があります。その愛好家が住む市街地からクサガメを見つけた田園地帯までの距離は、およそ5km。途中に川が流れているわけでもありません。側溝や下水を伝って、もともと棲んでいた場所へ戻ったようです。優れた帰巣本能を持っているのか、その田園地帯がクサガメにとって非常に適した環境で、たまたま集まりやすいのか定かではないものの、たいへん興味深い報告です。では、なぜ、逃げたクサガメと再会できたクサガメが同じ個体だとわかったのでしょうか。クサガメの顔には複雑な模様があり、甲羅の色などにも個体差が見られます。飼育者が写真を撮っていたため判別できたそうです。

 ここでお伝えしたいのは、同じ種のカメでもそれぞれに個性があるということと、大事に飼育していても逃げてしまうケースがあるということ。カメは爪を引っ掛けて器用によじ登ることができたり、複数匹がいる場合は重なった時に前肢が壁にかかる場合があります。屋外で飼育する際は返しをつけるなど脱走に配慮しつつ、大事にかわいがってあげましょう。

日光浴をするミシシッピアカミミガメ

水棲ガメを飼ってみよう

最低限覚えておきたいこと

 販売されているカメの名前に「CB」や「WC」と添えられていることがあります。CBは飼育下で殖やされた個体、WCは野生捕獲個体のことで、「2025CB」は2025年に殖やされた個体、「2024EUCB」なら2024年にEU圏で殖やされた個体、という意味です。飼育する場合は、最初から人間の手で育てられたCBのほうが飼いやすいといえます。
 分類についても覚えておきたいところです。カメは爬虫類(爬虫綱)のカメ目というグループで、大きく2つに分かれます。1つは潜頸亜目(せんけいあもく)。これは頸を垂直方向に甲羅内に収容できるカメで、ウミガメやリクガメ・イシガメ・スッポンの仲間など私たちのよく知っている種類が含まれます。もう1つは曲頸亜目(きょくけいあもく)。頸を水平方向に折り曲げる種類で、ナガクビガメなど頸の長いものも含まれています。ちなみに、英語ではTortoise(陸棲種)やTurtle(水棲種や半水棲種。Freshwater Turtleとも)、ウミガメの仲間はSea Turtle、スッポンの仲間はSoft Shelled Turtleなどと呼ばれています。

潜頸亜目は首をS字に曲げ垂直方向に収納します(ニホンイシガメ)
曲頸亜目は首を水平方向に折り曲げて収納します(パーカーナガクビガメ)

種類の名前と学名

 飼育中のカメ、もしくは飼いたいと検討しているカメの名前を図鑑や専門雑誌などで調べてみましょう。現地での生活史や生態などの情報が得られるはずです。飼育環境に反映できる部分がたくさんあって、たとえばそれまで与えていたエサに見向きもしなくなってしまったら、野生下で食べているエサを調べ、他のエサを与えてみるといったアプローチができます。同じカメでも飼育方法は愛好家によってさまざまで、そういった情報も得られます。自分に合った部分を取り入れてみてはいかがでしょうか。

 学名を知っておくとさらに便利です。学名は世界共通なので、検索すると多大な情報を得ることができます。近年、DNA解析により分類変更がしばしば行われていますが、学名を覚えておくと確認しやすいでしょう(海外サイトでも学名でヒットすることがほとんど)。

 雌雄の見分け方は、水棲カメの場合、オスが小さいことが多く、尾が太くて長いのがオスです。それ以外にも種類によって雌雄でサイズが異なったり(メスが大きいことが多い)、オスは爪が伸長するなど他の判別点もあります。

オス(左)とメス(右)の違い。オスの尾は太く長いのに対し、メスは細く短いことが多いです。オスの腹甲は中央部がやや凹んでいます(キボシイシガメ)
 

カメに関する法律

 カメを飼育するにあたり、関連法律は覚えておきましょう。まず、条件付特定外来生物。ミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)は最も飼育されているカメの1つですが、全国各地に定着しているため、この法律で規制があり、①野外に逃したり放すこと。逃げ出した場合でも違法。②輸入・販売・購入や頒布目的のための飼育などが禁止。③無償でも頒布が禁止。④冷凍や加工などをして販売するための繁殖が禁止されています。
 ただし、すでに飼育している場合は引き続き飼育することもできるし、野外で捕まえても逃さないように飼育し続けるのなら手続きは必要ありません。一度捕まえてやっぱり飼えないなどと野に放すことは違法行為にあたるため、注意が必要です。安易に捕まえて持ち帰ることはせず(アカミミガメの寿命は30年ほど。甲長は20~30cmまで大きくなります)、見合う飼育設備が必要となります。どうしても飼い続けることができなくなった場合は、自身で譲渡先を探さなければなりません。都市部でも見かけることの多い身近なカメなので、くれぐれも注意してください。

●参考:環境省のホームページ

 絶滅のおそれがある野生動植物の国際取引を規制し、種の保護を図る国際条約である「ワシントン条約」(CITES)にはいくつかのカメが掲げられています。リクガメ飼育者の中には「いつのまにか自分の飼っているカメが附属書Ⅰに掲げられていた」というケースもあります。「附属書」はⅠ~Ⅲまであり、Ⅰが最も絶滅の可能性が高い野生動植物のカテゴリーです。

 日本で天然記念物に指定されているカメは、ヤエヤマセマルハコガメとリュウキュウヤマガメです。野外で出会っても、捕獲や飼育はおろか触れる行為すら違法となります。沖縄本島など、八重山諸島で見かける機会があっても観察するだけに留めましょう。
 地域によっては、外来生物法に指定されているカメを野外で見かけるかもしれません。カミツキガメやハナガメなどが挙げられます。

 より詳しい情報や最新情報は、専門雑誌や環境省のホームページなどから得て置くことが大切です。

リュウキュウヤマガメ(天然記念物)

カメの飼育スタイル

 水棲カメにはたくさんの種類がいますが、飼育は大きく2タイプに分かれます。水棲・半水棲があり、陸場と水場の割合が異なります。水棲傾向の強さによる違いともいえます。また、日本や、日本に近い温帯域(北米やヨーロッパなど)に生息する種類を庭やベランダで屋外飼育する人もいます。用意できる飼育スペースや種類に合わせてさまざまなスタイルがあります。

水槽での飼育
庭での飼育

飼育場所があるかどうか

 水棲ガメは陸場と水場を行き来する生活を送ります。水場には甲羅干しするための浮島などを設置するため、相応のスペースが必要となります。カメのサイズは「甲長」で示し、尾や頭は含まれません。数字の割に大きく感じることもあります。愛らしい幼体が売られていることも多いですが、成長後を想定し、飼育する水棲カメに適したスペースを用意できるかどうかを検討してから飼いましょう。

日頃の世話のイメージ

 幼体を除き、必ずしも毎日世話をする必要はありません。普段の世話は、エサやりと水換えが主です。ただし、大きな水槽で飼育する際は、水換え作業もなかなかの労力が必要となります。観賞魚よりも水量が少ない場合が多く、また、水を汚しやすいペットだということも覚えておきましょう。

水棲ガメの飼育

エサ

 エサは水棲カメ用の人工餌料が市販されていて便利です。各メーカーからさまざまな製品が流通しており、好みに合ったものや使いやすいものを選ぶとよいでしょう。いずれも栄養バランスに優れ、人工餌料だけで長期飼育ができることも多いです。植物質を好む種類には野菜や水草などを与え、肉食傾向の強い種類には魚やエビ、コオロギなどを与えます。コオロギにはカルシウム剤をまぶしてから与えますが、コオロギにもエサを与えて栄養価を高めておきます。幼体には1日に1回、成体では1週間に2~3回程度のペースで与え、水が汚れたら交換します。泳ぐスペースによって運動量が異なってくるため、飼育しているカメの体型を見ながらエサの量を調整してください。太り過ぎの個体も多く見かけられます。

水棲ガメ用の人工餌料(写真:キョーリン「カメプロス」)

●「カメプロス」の紹介ページ

日頃の世話

 エサやりと掃除が主な世話となります。飼育水は「泳ぐ場所」「体を浸す場」であると同時に、「飲み水」も兼ねています。常に清潔に保ちましょう。水量が多いときは濾過フィルターなどを稼働すると、その分、メンテナンスが楽になります。複数匹を同居させている場合は、個体間の争いにも注意し、執拗に噛まれるなど弱い個体が見られたら別居させます。陸場に食べ残しや糞などの汚れを見つけたら取り除いてください。

 冬眠は幼体の場合、させないほうが無難です。成体では温帯域に生息する種類なら冬眠させることができます。秋までに充分にエサを与え、カメの様子を見ながら気温の低下と共にエサを減らしていき、給餌をやめます。活動的でなくなり水底でじっとしていることが多くなりますが、ここで無理にエサを与えると食べずに飼育水が悪化するだけです。極端に痩せてなければエサやりをしなくてかまいません。春が近づいて気温が上昇してきたら、カメの動きが活発になってきます。徐々に通常の飼育に戻していきましょう。
 注意点としては、冬眠は必ずしもさせなければならないものではありません。繁殖を誘発したい場合などに行うもので、温帯域の種類でも通年保温して飼育したほうが安全といえます。

飼育に必要な器具

 飼育ケースは観賞魚用の水槽がよく用いられていますが、タブ状のカメ用ケースも流通しています。そう大きくならない種でも幅60cm以上のケースを用意して、運動できるスペースを確保すると共に、体を充分乾かすことのできる陸場と、泳ぐことのできる水場を用意してあげましょう。庭やベランダなどで飼育する際は、脱走されないようなケースを用いるなどの工夫をします。甲羅の形成などには紫外線が大切なので、室内で飼育する場合は爬虫類用のライトを照射してください。陸場を設ける場合は、浮島などへ向けて、ライトとは別に甲羅干し用のバスキングランプを照射しましょう。浮島としてさまざまな製品が流通していますが、飼育しているカメが乗っても沈まないものを選びます。カメの重さで水中に沈んでしまうようなら、固定するか、レンガなどを組み合わせて、カメの体が乾かせるように配慮してください。砂利は敷かないほうが掃除しやすい面がありますが、砂に潜る習性を持つスッポンには敷いてあげると落ち着いてくれます。

 よく泳ぐ種類には、流木や石などのレイアウト品は入れないほうが管理しやすいです。遊泳スペースを広く取ってあげましょう。ただし、水底を這うタイプには、とっかかりとなるような流木を入れたり、砂利を敷いても良いです。

 飼育温度は種類によって異なります。26℃をベースに、熱帯域の種類なら通年26~28℃をキープし、陸場はそれよりも高く(35℃前後)設定します。日本産のカメなら通年保温は必要ありませんが、真夏など、締め切った飼育部屋において温度が高温すぎる場合もしばしば起こるため、窓を開けたりエアコンで調整してください。カメは異なる温度帯を行き来することで体温調整をします。屋内の水槽でも屋外の飼育場でも、日陰と日向を用意することが大切です。

 ニホンイシガメなどは水質の悪化に弱い面があるので、特に清潔な環境を維持するよう配慮してください。一方、南米産の種類は弱酸性を好む傾向があります。水質調整剤を用いると便利でしょう。

水棲ガメの飼育例(水棲傾向の高い種類)
爬虫類用のライトのほか、甲羅干し用のバスキングランプを設置する。水上のレイアウトはカメの脱走に注意して配置しよう。
水棲ガメの飼育例(陸棲傾向の高い種類)

●カメの飼育方法(キョーリンのホームページ)

おすすめの種類

クサガメ Mauremys reevesii
甲長◎最大約30cm ケース◎幅90cm以上 陸場と水場◎1:2
ミシシッピニオイガメ Sternotherus odoratus
甲長◎最大約13cm ケース◎幅60cm以上 陸場と水場◎1:4(陸場はなくても可)
カブトニオイガメ Sternotherus carinatus
甲長◎最大約16cm ケース◎幅60cm以上 陸場と水場◎1:4(陸場はなくても可)
ミシシッピアカミミガメ Trachemys scripta elegans
甲長◎最大約28cm ケース◎幅90cm以上 陸場と水場◎1:3(浮島など)
ニシキガメ Chrysemys picta
甲長◎最大約25cm ケース◎幅90cm以上 陸場と水場◎1:3(浮島など)

長い付き合いができる長寿なペット

 比較的長寿なペットで、種類や飼育方法にもよりますが、何十年と生きる水棲カメも多いです。ヨーロッパヌマガメでは120年生きた記録もありますが、平均的には15年程度といわれています。身近なクサガメを祖母の代から引き継いで30年以上飼育している例も知られています。

野生個体を観察しに行ってみよう

 クサガメやミシシッピアカミミガメなどは容易に観察できる種類です。どんな場所にいて、何を食べているのか、1日のうちで活動的な時間帯はいつ頃なのか、季節ごとに様子が異なるのかといった生活史を肌で感じ、飼育の参考にしてみてはいかがでしょうか。

おすすめの本

ディスカバリー生き物・再発見 カメ大図鑑 潜頸亜目・曲頸亜目
(誠文堂新光社 刊)

日本の爬虫類・両生類野外観察図鑑
(誠文堂新光社 刊)

(写真・文:川添宣広/協力:キョーリン)

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