【コカトピ!】昆虫だって植物の種を食べて運んでいた!

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文/斉藤勝司

植物の種を食べて運ぶのは鳥類、哺乳類だけ?

 自力では移動することのできない植物の中には、他の動物に種を運んでもらう種類がいます。動物が好んで食べる果実を実らせ、種と一緒に食べてもらい、離れたところで糞と一緒に排せつしてもらっているのですが、種を運ぶ「種子散布者」になるのは鳥類や哺乳類がほとんどです。

 昆虫が種子散布者になることは珍しく、アリの仲間には種を運ぶものがいるものの、アリは大きなあごで種をつかんで運んでいて、鳥類や哺乳類のように種ごと果実を食べて種を運んでいるわけではありません。種を食べて運ぶ昆虫としては、唯一、ニュージーランドに生息するウエタというバッタの仲間が、他の植物から栄養をもらって生きている寄生植物のほこりのような小さな種を食べることが知られています。

 ニュージーランドには地上に生息する哺乳類がいないため、他の地域で哺乳類が行っていた種子散布をウエタが担っているのだと考えられていますが、ニュージーランド以外の地域には食べて種を運ぶ昆虫はいないのでしょうか。この疑問を解き明かすに当たって、神戸大学と東京大学の研究グループは、日本では沖縄県や鹿児島県の奄美大島に分布するヤマビワソウという低木に注目しました(写真1)。ヤマビワソウは長さ約0.3mmの非常に小さなほこりのような種をたくさん含む白い果実を実らせます(写真2)。これほど小さな種であれば昆虫が運んでいるかもしれません 。

写真1 ヤマビワソウ。
写真2 ヤマビワソウは、長さ約0.3mmしかない非常に小さな種を含む白い果実を実らせる。

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