「小学生トコトンチャレンジ2023」採択者が成果発表!

 「小学生トコトンチャレンジ2023」の採択者が、2023年12月2日(土)に開催された中高生のための学会「サイエンスキャッスル関東大会」にて成果を発表しました。その模様をご紹介します。

 今回の成果発表は、中高生たちのポスター発表の場で行われました。先輩の中学生、高校生や先生たちもトコトンチャレンジ採択者のポスター発表を聞きにやって来ます。トコトンチャレンジ採択者の小学生たちも、中高生の研究発表を見て大いに刺激を受けている様子でした。

こちらは中高生たちの口頭発表の様子。
ポスター発表会場の様子。

 それでは、トコトンチャレンジの成果発表を見ていきましょう。

関根理仁さん「テーマ:貝が水をきれいにする力を使って、川や海の水をきれいにして、生き物を守りたい

 昆虫が好きな関根さんは、水生昆虫の観察をする中で、水辺の環境に興味を広げ、二枚貝が水をきれいにする力について調べました。実際に自分でグリーンウォーターをつくり、マシジミで浄化できるか実験。データと画像でわかりやすく発表していました。予想に反した実験結果も出て、新たな気づきや課題が得られたようです。

高橋耀介さん「テーマ:リアルなシューティングゲームを作りたい

 高橋さんはリアルなゲームをつくるために、3DCGではなく、実際に戦車をつくってリモコンで動かし、弾を打って敵を打ち倒すシューティングゲームを開発。実際に遊んでいる様子を見せてくれましたが、動く敵を追いながらタイミングよく的を撃つ、すごいゲームになっていました。目標にしていた、戦車にカメラを搭載するところまではいかなかったとのことで、次の課題も明確です。

慶野楓岳さん「テーマ:ナナフシモドキを育てる。

 以前からナナフシモドキを飼育していた慶野さんは、野生のオスが極端に少ないことに疑問を持っていました。また、緑や茶の色の違いがどのように起こるのかも不思議に感じ、広さや光などのいろいろな環境条件の違いでオス、メス、緑、茶の違いが出るか実験を行いました。結果としては、すべての環境で茶色のメスになりましたが、今回の環境では違いが出ないことがわかっただけでも素晴らしい発見。さらに異なる条件で検証していきたいとのことです!

西元世亜さん「テーマ:3Dプリンターを使って前後左右に動く車を作る

 西元さんは、エンジニアになるという夢に向かって、すでに前後左右に動ける車を製作していましたが、今回のトコトンチャレンジでのサポートを受けて、リモコン操作によりフォークリフトでものが運べる車に改良。第2号(SGUSMU)を完成させました。SUGSUMの名前は、カートが「すぐ進む」、買い物が「すぐ済む」という意味に由来していて、人の役に立つ実用的なロボットを開発したいという思いが伝わってきます。

川島優星さん「テーマ:フクイラプトルの図鑑作成

 日本で発掘された肉食恐竜「フクイラプトル」の資料が少ないことから、自分で図鑑をつくりたいという思いでトコトンチャレンジに挑んだ川島さんは、「子どものためのフクイラプトルの図鑑」を完成させました。実際に全身骨格復元を観察し、同類のメガラプトル類との比較を行い「東部の形状が少し丸みを帯びており、前肢骨の方向や厚さが異なる」などの考察を加える本格的な内容。これから他の種の恐竜に広げていきたいとのことで、今後の研究が楽しみです。

成戸大尊さん「テーマ:スペースポート和歌山発、幸せ宇宙スイーツ

 地元和歌山の特産品を活かして、宇宙食のスイーツをつくりたいという壮大な開発にチャレンジした成戸さん。宇宙食の条件を調べたり、実際に食べたりしながら、フレジェのカスタード部分を固形にしたり、真空パックにしたりと試行錯誤を繰り返しました。水分の多いフレジェはなかなかうまくいかず、和歌山産イチゴジャムを使ったマカロンで再挑戦。手ごたえを感じたようです。

田中獅礼さん「テーマ:マイクロプラスチック回収ロボット制作

 海のゴミ拾い活動をしてきた田中さんは、活動する人たちの相棒になる「マイクロプラスチック回収ロボット」の開発と実用化を目指して活動しています。トコトンチャレンジの支援を活かして、マイクロプラスチックの回収を助ける超音波の研究、LMガイドの研究、電磁石の研究を行い、開発中のロボットの改良を行いました。成果発表では、小型化され、剛性、耐久性、防水性に優れたボディに仕上げたロボットを披露。まだ砂浜では動かないとのことで、新たな課題に向けて引き続き開発を続けていくそうです。

平岩杷奈さん「テーマ:身の回りの細菌が健康に及ぼす影響について調べる

 身近な細菌に興味を持った平岩さんは、さらにテーマを絞り込み、「人間の腸内細菌」について調べることにしました。身近な40代男性(!?)の腸内フローラ検査を行い、健康状態から腸内環境の仮説を立て、仮説と実際の検査結果を比べてみると、意外にも腸内細菌叢のバランスがとれているという結果でした。今後は、サンプルとなった40代男性によるさらなる検証と、自分自身の体調不良を検証するGIMAP検査についても研究し、実際に受けてみたいとのことです。

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 2024年の「トコトンチャレンジ」は、子供の科学創刊100周年記念企画としてさらにグレードアップ! 対象は中学生まで広がり、補助される金額も最大10万円までアップ。さらに充実した内容で、みなさんのやりたい研究・開発のサポートをします。申請の締め切りは2024年3月3日(日)。2024年はトコトンチャレンジを活用して、あなたの中にある「やりたいこと」におもいきりチャレンジしましょう!

 まずは、公式サイトにある「申請下書きシート」をダウンロードして、どんなことにチャレンジしたいのか、自由に書いてみてください。

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1924年創刊の小中学生向け科学月刊誌。話題の科学ニュースを、どこよりもおもしろく、わかりやすく解説。宇宙、生き物、テクノロジーなど、好奇心旺盛な子供たちがわくわくする科学をお届けします。創刊以来、研究者や医師、エンジニアなど一流の人たちが子供時代に読んでいた雑誌として知られています。また、毎月工夫をこらした実験や工作を多数紹介。手を動かしてものづくりをする体験を提供しています。子供向けのプログラミング学習記事も充実。記事の内容と連動したプログラミングキットの開発も行っています。

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