《レポート》「メタバース」で夢のバーチャル空間を実現する -クラスター株式会社・加藤直人さんトークライブ

 2022年4月17日(日)、メタバースプラットフォーム「cluster」を立ち上げ、日本のメタバース業界をけん引する若き経営者・クラスター株式会社の加藤直人さんをお招きして、「好きをミライへつなげる講座」トークライブを開催。『コカデミア』読者の中高生から、意欲的なKoKa読者の小学生までオンラインで集まり交流しました。

 京都大学理学部で宇宙論と量子コンピューターを研究した加藤さんは、約3年間のひきこもり生活ののち、今の会社を起業しました。このひきこもり生活の経験が、「夢のバーチャル空間をつくる」という目標につながっていったといいます。

SFの世界を自分でつくる!

 最近よく耳にするようになった「メタバース」って何なの?

 トークライブはそんなお話からスタート。わかりやすくいうと、「コンピューターがつくり出した世界で生きるような未来の生活スタイルのこと」と加藤さん。SFの小説や映画の世界が大好きだという加藤さんは、「SFで観た世界を自分でつくってみたい!」という発想から、20代でクラスター株式会社を立ち上げ、数年で約100名の社員が働くメタバースの最先端企業へと成長させていきます。

 加藤さんが開発したメタバースプラットフォーム「cluster」の中では、どんなことが起きているのか、動画もまじえて紹介しました。

 メタバース上では、ユーザー自身がカフェや博物館など思い思いのバーチャル空間をつくり、そこにアバターの姿を借りた人たちが集まって交流しているそうです。

 また、大学の研究室と共同で研究に取り組んでいる「メタバース研究所」のお話も。

 研究所では、clusterの中で行われるコミュニケーションや創作活動、経済活動から得られるデータを使って、メタバースの中でよりよい生活を実現するための研究が進められているといいます。

 「そんなこともやるの?と思われるかもしれないですけど、『ブレイン・マシン・インターフェイス』、つまり脳とメタバース空間を接続するための研究も進めています」と加藤さん。まさに、SFの世界を実現することに本気で取り組む加藤さんの姿に、驚かされる参加者も多かったと思います!

参加者からの質問タイム

 後半の40分間は、参加者からの質問タイム。次々にやって来る質問に加藤さんが全力回答し、非常に内容の濃い質疑応答になりました! たくさんあった質問と回答の中からここでは2つ、ご紹介しましょう。

miraiさんからの質問「メタバース内でアニメをつくることは可能ですか?

 これはマジでめちゃくちゃいい質問です。なぜかというと、アニメ業界の人がメタバースをどう活用しようか、盛んに研究しているんですよ。アニメは結局、二次元の中でのエンターテイメントじゃないですか。miraiさんも絵を描くときは、普段は2Dで描いていると思います。この2Dの絵を動かすことでストーリーを表現しているアニメーションを、どうやったら3Dにしておもしろい表現ができるか、という研究をアニメの世界ではやっています。

 最近は3DのCGでつくられるアニメも増えてきたと思いますが、これをメタバースの中でできないかというのは、今いろいろな挑戦が始まっています。なので、ぜひmiraiさんも挑戦してほしいです。

 別にフォーマットを気にしなくていいんです。人が決めたルールの中でつくらなくていいので、「これまでにないものを生み出す」という気持ちでやってみてください。

山田さんからの質問「clusterをつくるときに最初にかかったお金は何円ほどですか?

 これも本質的でいい質問ですね。

 まず、ものをつくるお金と、会社をつくるお金、2つがあります。clusterのソフトづくりという観点でいうと、最初に4人の仲間と一緒につくったのですが、いろいろなものを試しながら大体2~3か月でできました。ソフト開発自体は自分たちでやっているので、ほとんどお金はかかっていないんですよ。お金がかかっているのは、人件費ですね。一緒にやっているみんなの生活費が必要です。

 みなさん今日は、サイエンスだったり、ものづくりだったりが好きな人が集まっていると思うのですが、自分のアイデアに対して人を動かして実現しようとするとき、その人件費を常に考えないといけません。

 そしてもう1つ、今日みなさんにとって大切な情報をお伝えします。今の時代、優秀な人、いいアイデアがあるところには、お金が集まるんです。

 アイデアにお金を投資する「スタートアップ」というエコシステムが存在しています。Googleだって、最初はアイデアを持った大学生が、投資家からお金を集めてできた会社です。

 クラスター社の場合の生々しい話をしておきますと、一番最初2人で会社をつくったのですが、2人のアイデアに1,500万円集まりました。これは多いか少ないかでいうと、普通なんですよ。アイデアさえあれば、これぐらいのお金は集まるんだ、と知っておいたほうがいいです。スタートアップというのは、実績のない大学生であっても、会社をつくるだけの人とアイデアがあれば、1,000万から2,000万ぐらいのお金は集まります。お金を出している人は、その会社がでかくなったときに回収するというモデルです。

 ぼくは学生時代、スタートアップのことを知らなかったんです。だから今日みなさんに伝えているんです。学生が会社をつくりたいと思ったときに、人件費を考えると、どう考えても足りないんです。ぼくは、アルバイトして稼がないとだめなのかなと思っていたんです。そのときどうしたかというと、自分のアイデアをどう開発していくかブログに書いていたら、投資家から連絡が来たんですよ。それが起業のきっかけでした。みなさんぜひ、アイデアを実現するためのお金の集め方についても調べてみてください。

『コカデミア』では今後も、みなさんの将来の役に立つイベントを企画していきます! ぜひ積極的に参加してみてくださいね。

【6/11(土)開催】 「数理科学」でこの世界の法則をあらわす共通の言葉を見つける-佐々田槙子さん《参加者募集中》

 数学者と聞くと、机の上で計算しながら何やら難しいことを考えているというイメージを持つ人も多いかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょう? 6/11(土)開催の「好きをミライへつなげる講座」トークライブには、東京大学で「統計物理学」を研究する佐々田槙子さんが登場。

見逃し動画配信

 「メタバース」が当たり前になる未来に、私たちはどう生きていけばいいのか。加藤さんが今回のイベントでみんなに伝えたかったという「夢をつくる人生の歩み方」とは? 将来を考えるきっかけになるお話が満載のトークイベントを見逃した方は、こちらでぜひご視聴ください。

 また、2022年5月31日(火)までの期間限定で、加藤直人さんへの質問が送れる専用フォームを開設します。動画を視聴して疑問に思ったこと、聞いてみたいことがありましたら、フォームに質問を入力してください(回答にはしばらく時間がかかりますのでご了承ください)。

※動画の視聴、加藤直人さんへの質問フォームはコカネットプレミアム会員・DX会員限定です。

取材・文

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1924年創刊の小中学生向け科学月刊誌。話題の科学ニュースを、どこよりもおもしろく、わかりやすく解説。宇宙、生き物、テクノロジーなど、好奇心旺盛な子供たちがわくわくする科学をお届けします。創刊以来、研究者や医師、エンジニアなど一流の人たちが子供時代に読んでいた雑誌として知られています。また、毎月工夫をこらした実験や工作を多数紹介。手を動かしてものづくりをする体験を提供しています。子供向けのプログラミング学習記事も充実。記事の内容と連動したプログラミングキットの開発も行っています。

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