毎週金曜日更新●連載《偉人さん、いらっしゃ~い‼》第3回 マリー・キュリー

偉人
いじん
さん、いらっしゃ~い‼》へようこそ。毎回、すてきな偉人さんをゲストに楽しいトークをお
とど
けします。放射性
ほうしゃせい
新元素
しんげんそ
ポロニウムとラジウムを発見し、その研究
けんきゅう
で2度のノーベル
しょう
にかがやいたマリー・キュリー博士。研究にまつわる
おどろ
きのエピソードも聞いちゃうぞ!

マリー・キュリー博士、いらっしゃ~い‼

マリー・キュリー(1867-1934年)。ポーランドのワルシャワで生まれる。23
さい
のとき、フランスのパリ大学(ソルボンヌ)に入学。28歳で、物理学者
ぶつりがくしゃ
ピエール・キュリーと結婚
けっこん
。31歳のとき、「放射能
ほうしゃのう
」についての論文
ろんぶん
を発表。放射性
ほうしゃせい
新元素
しんげんそ
ポロニウムとラジウムを発見。36歳で、夫ピエール、アンリ・ベクレルとともにノーベル物理学賞を受賞。さらに44歳のとき、ラジウムの研究でノーベル化学賞を受賞。

─ 小さいころはどんな子供でしたか?

 生まれたのはポーランド。5人兄弟の
すえ
っ子で、本を読むのが大好
だいす
き。物理の先生だった父の実験器具
じっけんきぐ
をながめては、科学者になるのを
ゆめ
見ていたの。でも、そのころ国はロシアの支配下
しはいか
で女子は大学に入れなかったから、家庭教師
かていきょうし
をしながら独学
どくがく
でパリ大学に入学したのよ。

放射能
ほうしゃのう
の研究を始めたきっかけは?

 1896年にベクレルという科学者が、ウランがX 線によく
た強い光線を出すのを発見。私はこの光線のことをもっと知りたくなって、
おっと
のピエールといっしょにいろいろな元素で実験してみたわけ。するとウランだけでなく、トリウムからも強力な光線が出ていることがわかって、そのエネルギーを「放射能」と名づけたの。

─ そして、女性初のノーベル賞(物理学賞)を受賞したんですね。

 ええ。放射能を測定
そくてい
すれば、未知
みち
の元素を見つけることができる。そこでもっといろいろな化合物
かごうぶつ
を調べるうちに、ピッチブレンドというウランを取り出したあとの鉱物
こうぶつ
は、ふくまれるウランの何倍もの放射能をもつことがわかったの。ということは、この中にまだ発見されていない放射能の新元素があるはず。そう確信
かくしん
して、4年がかりでラジウムを取り出すことに成功
せいこう
したのよ。研究室の暗やみで、ぼおっと青白く光るラジウムは、まるで妖精
ようせい
の光みたいにきれいだったわ……(うっとり)。

─ じゃあラジウムの特許
とっきょ
で大金持ちですね!

 Non
ノン
(いいえ)、特許はなしよ。科学の知識
ちしき
人類
じんるい
共有
きょうゆう
すべきもの。もちろんピエールも同じ考えだったわ。私たちが発見した放射性物質
ほうしゃせいぶっしつ
は、今ではがん治療
ちりょう
などの医療
いりょう
をはじめ、広く世の中に役立っているそうね。でも、どうか
わす
れないで。偉大
いだい
な発見は科学者の頭脳
ずのう
からいきなり
あらわ
れるんじゃない。ぼう大な研究の

かさ
ねから生まれる果実
かじつ
だってことをね。

─博士、どうもありがとうございました!

もっと知りたい! 偉人さんエピソードクイズ

最後は、もっと知りたい「偉人さんエピソードクイズ」のコーナー。何問正解できるかな? 挑戦
ちょうせん
してみよう。

Q1
どんな方法でピッチブレンド鉱石
こうせき
からラジウムを取り出だしたのかな?
a いろいろな薬品
やくひん
を使って
かし出した

b 大きい
なべ
でグツグツ
つめて精製
せいせい
した

c ハンマーでたたき割わ って取と り出だ したハンマーでたたき
って取り出した
《》

Q2
自分の結婚式
けっこんしき
で着るために、マリーが
えら
んだ服はどれ?
a 実用的
じつようてき
なこん色のドレス
b  純白
じゅんぱく
のウエディングドレス
c  祖国
そこく
ポーランドの民族衣装
みんぞくいしょう

Q3
マリーが夫のピエールといっしょに楽しんだ趣味
しゅみ
はなに?
a  テニス
b ダンス 
c サイクリング

クイズの答え合わせはこの下をチェック
↓↓↓↓↓↓↓↓





Q1 b 大きい鍋でグツグツ煮つめて精製した
 まず大量
たいりょう
のピッチブレンドを大きな鍋に入れて溶かし、グツグツ煮つめて液体
えきたい
蒸発
じょうはつ
させる。そうしてできた物質をまた溶かし、よぶんな結晶
けっしょう
を取りのぞいて、また煮つめる。この作業を何度もくりかえして純粋
じゅんすい
なラジウムを精製したんだ。これを「分別結晶法
ぶんべつけっしょうほう
」といって、溶液
ようえき

えていくときに、軽い元素から順番
じゅんばん
に結晶になる性質
せいしつ
を利用した分析法
ぶんせきほう
なんだよ。マリーはくる日もくる日も重い鉄の
ぼう
で鍋をかきまわし、精製した物質をピエールが電位計
でんいけい
分析する。こうしてふたりの連携
れんけい
プレーによって、ついに純粋
じゅんすい
なラジウムを取り出すのに成功。何トンものピッチブレンドから取り出したラジウムは、わずか0.1gだった!

Q2 a 実用的なこん色のドレス
 結婚したころは、まだ無名
むめい

まず
しい研究者だったマリー。あとで研究室でも着られるように、実用的な服をプレゼントしてもらったんだよ。だけど研究室っていっても、そのころ使っていたのは物理化学学校のボロボロの物置
ものお
き小屋。部屋にはそまつな実験装置
じっけんそうち
をのせたテーブルと黒板、あとは古いストーブしかなかったんだって。

Q3 c サイクリング
 安上がりで健康
けんこう
にもよいと、ふたりはよく自転車でバカンスに出かけた。ちなみにハネムーンは、結婚祝いに
おく
られたピカピカの自転車に乗ってフランスの田舎
いなか
めぐりを楽しんだそうだよ♪

 みんな、クイズはどうだったかな? 今回はこれにておしまい! さ~て、来週のゲストは? ノーベル賞つながりから、この方! そう、まさにこの賞の名前の……あの人物がきてくれるみたい!

※本記事は、『子供の科学』2011年4月号掲載の記事を再編集したものです。

戸村悦子 著者の記事一覧

フリーライター。『子供の科学』をはじめ児童教育や科学分野、趣味の雑誌・専門書籍を中心に取材・執筆を行う。

(イラスト/ほりみき)

最新号好評発売中!

子供の科学 2025年 1月号

CTR IMG