新連載《偉人さん、いらっしゃ~い‼》第1回 アルベルト・アインシュタイン

 今月から毎週お届けする新連載《偉人
いじん
さん、いらっしゃ~い!!》へようこそ。早速だけど、「相対性理論
そうたいせいりろん
」って知ってる? 最初のゲストは、それを考えた
ちょう
スゴい人、有名なアインシュタイン博士
はくし
だ。ノーベル物理学賞
ぶつりがくしょう
を受賞した世紀
せいき
の天才科学者、そのモジャモジャ頭(失礼
しつれい
!)の中はどーなってるの?

アルベルト・アインシュタイン博士、いらっしゃ~い‼

アルベルト・アインシュタイン(1879-1955年)。ドイツ・ウルムのユダヤ人家庭に生まれる。26歳のとき、「特殊相対性理論
とくしゅそうたいせいりろん
」など三大論文を発表。37歳のときに「一般相対性理論
いっぱんそうたいせいりろん
」を完成させる。43歳のときに「光電効果
こうでんこうか
の法則」で1921年度のノーベル物理学賞を受賞。

─「相対性理論」って、なんか超
むずか
しそうなんですけど。

 まあ、理解
りかい
してる人は世の中に7人しかいないから……(笑)。たとえば、走っている電車を立ち止まって見ると、目の前を走り去っていく。でも自動車に乗って同じ方向、同じ速度で走ったら、電車は止まって見えるよね。こんなふうに時間も空間も、ニュートンのいう絶対に変わらないものではなく、観察
かんさつ
する人の視点
してん
によって変わる(相対的
そうたいてき
)と考えたのさ。

─どこからそんな発想が?

 16
さい
のころ、ふと思ったんだ。「光の矢に乗って光を追いかけたら、それはどう見える?」。光と同じ速度で追いかけたら、光は止まって見えるはず。だけど光が止まる=振動
しんどう
しない、はありえない。これを
ぼく
の得意な “思考実験
しこうじっけん
”、つまり頭の中で架空
かくう
の実験をして考えていたら、ある朝突然
とつぜん
ひらめいたんだ。時間も空間も
びたり
ちぢ
んだりする!
 これが26歳のとき書いた「特殊相対性理論
とくしゅそうたいせいりろん
」のもとだね。

─物理の常識
じょうしき
をひっくり返したんですね。

 10年後に、これをさらに発展
はってん
させた「一般相対性理論
いっぱんそうたいせいりろん
」を発表したら、科学界で大論争
だいろんそう
になっちゃって。結局
けっきょく
、僕の理論の正しさが証明
しょうめい
されたけど、ノーベル賞はこれじゃなくて、ずっと前の光に関する研究で受賞。キミも賞が欲しかったら、難解
なんかい
すぎる論文
ろんぶん
はやめたほうがいいよ(笑)。

─ひえ~やっぱり超スゴい人なんだ!

 いやいや、僕には特別
とくべつ
才能
さいのう
なんてない。ものすごく好奇心
こうきしん
が強いだけなんだ。大切なのは疑問
ぎもん
をもち続けること。なぜ空は青いのか、なぜ方位磁石
ほういじしゃく
はいつも北を指すのか。子供のころから僕の頭の中は自然の「なぜ?」でいっぱいだったけど、きっとみんなもそうだよね?

─ところで、博士は日本にも来たことがあるんですよね。

 1922年に講演
こうえん

まね
かれて、美しい伝統
でんとう
文化に感動したよ。そんなワンダフルな国に原子爆弾
げんしばくだん
が落とされ、それに僕の考えた方程式
ほうていしき
E=mc2が使われたなんて、ものすごくショックで悲しくて……僕は友人のDr.ユカワ(湯川秀樹
ゆかわひでき
博士)らと核兵器
かくへいき
廃絶
はいぜつ
を求める「ラッセル・アインシュタイン宣言」
せんげん
にサインして、その7日後に天国へと旅立だったさ。Good bye!

─博士、どうもありがとうございました!

もっと知りたい! 偉人さんエピソードクイズ

最後は、もっと知りたい「偉人さんエピソードクイズ」のコーナー。何問正解できるかな? 挑戦
ちょうせん
してみよう。

Q1
大学を卒業
そつぎょう
したあと、アルベルトがついた仕事はなに?
a  公務員
こうむいん

b  新聞記者
c  車のセールスマン

Q2
研究に熱中
ねっちゅう
するあまり、料理
りょうり
する時間を
しんでやったことは?
a 生のジャガイモを皮つきのまま食べた
b  肉を
かずに手づかみで食べた
c  ゆで
たまご
をカラごとバリバリ食べた

Q3
日本に来たとき、飛び入り参加した伝統的なイベントはどれ?
a  すもう大会 
b もちつき 
c ぼんおどり

クイズの答え合わせはこの下をチェック
↓↓↓↓↓↓↓↓





Q1 a  公務員
 スイスの名門工科大学を卒業後 、ベルン市特許局
とっきょきょく
審査官
しんさかん
になったアルベルト。昼間は役所で
はたら
きながら研究を続け、1905年、26歳のときに「光量子仮説
こうりょうしかせつ
光電効果
こうでんこうか
」(1921年度ノーベル物理学賞)、「ブラウン運動理論」「特殊相対性理論」など、重要
じゅうよう
な論文を次々に発表した。これらはみな現代
げんだい
物理学の基礎
きそ
となったもので、1905年は“奇跡
きせき
の年”って
ばれているんだ。
 でも、当時のアルベルトは博士号
はくしごう
すらない、まったく無名
むめい
の青年で、論文の内容
ないよう
もそれまでの物理の定説
ていせつ
からかけ
はな
れたものだったから、はじめはまったく注目されなかったんだって。……ていうか、みんな理解不可能
りかいふかのう

Q2 c ゆで卵をカラごとバリバリ食べた
 研究中はものすごい集中力で、寝るのを忘れることもしばしば。料理の手間さえ
しんで、スープの中に卵をドボン。できあがったゆで卵を、カラごとバリバリ食べちゃった! やっぱりあとでお腹が痛くなったけど、ガマンしてまた研究を続けたとか。天才恐るべし。

Q3 b もちつき
 訪問
ほうもん
先でたまたま目にした正月のもちつきに興味津々
きょうみしんしん
鉢巻
はちま
きをしめ、かけ声をかけながらキネをふるったそうだよ。とっても気さくで、ジョークが大好きな博士は日本でも人気者もの。行く先々で
ねつ
れつな歓迎
かんげい
を受けたっていうから、ハリウッドスターもびっくり! ?

 みんな、クイズはどうだったかな? 今回はこれにておしまい! さ~て、来週のゲストは? 超有名な自然科学者のあの方の予定です。お楽しみに!

※本記事は、『子供の科学』2011年5月号掲載の記事を再編集したものです。

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フリーライター。『子供の科学』をはじめ児童教育や科学分野、趣味の雑誌・専門書籍を中心に取材・執筆を行う。

(イラスト/ほりみき)

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