【ノーベル物理学賞】小柴昌俊先生の研究-巨大な観測施設を建設して「ニュートリノ天文学」を開拓

2002年物理学賞 小柴昌俊
こしばまさとし
先生(東京大学名誉教授
※肩書は受賞当時

 陽子や電子が物質を形づくる粒子であるのに対して、素粒子の一種、ニュートリノは物質の素になることはなく、自由に飛び回っています。私たちが暮らす地球にも常に宇宙からニュートリノが降り注いでいるはずなのですが、非常に小さなニュートリノはほとんどの物質をすり抜けてしまうため、これを観測することは簡単なことではありません。

 そこで小柴昌俊博士は、岐阜県神岡町にある鉱山の地下に「カミオカンデ」という観測施設を建設しました。カミオカンデは3000トンもの水を溜めたタンクで、その周囲には約1000本もの光センサーが取り付けられています。ここに飛び込んだニュートリノが水分子に衝突したときに生じる弱い光を検知して、ニュートリノを観測しようとしたのです。

 といっても、カミオカンデは最初からニュートリノを観測することを目的にした施設ではありませんでした。当初は陽子が壊れる様子を観測する施設として利用され始めたのですが、目当ての観測はできなかったためニュートリノを観測できるように改良しました。

 その結果、16万光年離れた大マゼラン星雲で起こった超新星爆発で生じたニュートリノを観測することに成功しました。

 その後も太陽で生じたニュートリノの観測に成功。小柴博士は「ニュートリノ天文学」といえる新しい研究分野を開拓した功績が認められ、2002年にノーベル物理学賞が贈られました。


 小柴昌俊は2020年11月12日に94歳でお亡くなりになりました。そのときに配信したコカネットの追悼記事にて、ノーベル物理学賞受賞直後に小柴先生に取材させていただいた『子供の科学』2002年12月号の記事、および2007年4月号で行ったスペシャルインタビューを公開しています。小柴先生は子供時代、「子供の科学」を愛読されていたそうです。


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サイエンスライター。1968年、大阪府生まれ。東京水産大学(現東京海洋大学)卒業後、ライターとなり、最新の研究成果を取材し、科学雑誌を中心に記事を発表している。著書に『がん治療の正しい知識』、『寄生虫の奇妙な世界』、『イヌとネコの体の不思議』、『群れるいきもの』などがある。

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