【サイエンス“手に職”図鑑】研究者/生き物の謎を解明するためにさまざまなデータを集めて考える

【新発見で世界を驚かせる度 ★★★

国立極地研究所の海洋生物学者、渡辺佑基
わたなべゆうき
さんに聞きました。

キャリアプラン

大学院
博士号を取得
研究所や大学に勤務
研究者として活躍

必要な資格

博士号

仕事データ

勤務時間/1日平均7時間~
休日/週休2日ほど(研究室での仕事やフィールドでの長期の仕事などで異なる)
働ける年齢/60歳くらいまで

現場のお話を聞いてみよう!

データを集めて分析し、新たな発見をする!!

 海は地球表面の70%を占めています。そこには謎に包まれたさまざまな生き物が暮らしています。海洋生物学者の仕事は、海の生き物に関するデータを集めて研究することです。近年注目を集めているのが、動物の体に小型のビデオカメラや特殊な記録計を取りつける「バイオロギング」という方法。この方法を使えば、ペンギンやサメ、アザラシなどの行動を追跡でき、海の中での暮らしぶりがわかるようになります。

 動物に取りつけた記録計は、現在では8割ほどが回収できます。記録計は1セットで100万円くらいしますし、そこには動物の行動に関する貴重なデータが記録されているはずなので、無事に回収できたときは、まさに調査のハイライトともいうべきうれしい瞬間です。

 しかし、研究はここで終わりではありません。ときには極地(北極や南極)まで行き、体を張って集めたデータは、難しい計算をして詳しく分析します。そこで新発見があれば、英語で論文を書き、科学雑誌に発表します。こうして自分の新しい発見が世界中に広まります。研究は計画をたて、データを集めて解析し、そしてそれを論文にまとめます。ですから、論文の発表は研究の中でも特にうれしいことなのです。

たくさんの本を読んで、研究のアイデアを導く

 研究者になるには論文を読んだり書いたりする能力が必要です。そのためのトレーニングとして、とにかく本を読むことがオススメです。本を読むと、文章を読む力だけでなく、書く力もついてきます。また、いろいろな本を読んでおくと、研究を進める上で欠かせないアイデアが浮かぶようになります。完全にオリジナルのアイデアを思いつくのは難しいですが、いろいろな分野の本を読んで、知識や考え方の幅を広げておくと、それらを組み合わせることで、新しいアイデアが思い浮かぶようになります。科学の本だけでなく、いろいろなジャンルの本を読んでみましょう。

 もう1つ大切なことは、自然や生き物が好きなだけでなく、勉強が好きということです。研究者になっても、本を読んで勉強することがたくさんあります。そんなときには、勉強が好きということが役に立つのです。理科や算数だけでなく、国語や社会など、どの科目にも興味をもって、たくさん勉強してみましょう。

こうやって稼いでいます!

・研究機関に所属して研究
・科学雑誌に論文を書く
【一般の人に向けて】
・自分の新発見や研究成果を知ってもらうために本を書く
・科学を広く知ってもらうために講演会を開いたり、テレビに出演したりする

年収

350〜1000万円

私立の大学の教授などはもっと収入が多くなることも

★お仕事メモ★
数多ある科学雑誌の中でも、『Nature』や『Science』といった有名な科学雑誌に論文が掲載されると、世界中の研究者などから注目される。有名な科学雑誌は審査がとても厳しいため掲載は名誉なこと。

(文/保谷彰彦 イラスト/高村あゆみ)

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