南極の雲の観測(2025年8月号)

地球の一番南の「南極」で、気象・地質・生物など、さまざまな地球環境を調べている南極観測隊。「南極通信」では、隊員たちが現地から、南極での活動やくらし、研究の様子をコカ読者に届けてくれるよ!

今月号のレポートは……
第66次定常観測/気象観測 梶原 佑介

南極大陸上で見られた巻雲と高積雲(写真中央はSM-100型雪上車)

 南極では、どんな雲が見られるか知っていますか? 昭和基地では、気象観測を1年中交代で続けており、いろいろな雲に出会うことができます。南極は日ざしが弱く、日本の夏によく見られるような「もこもこした雲」はあまり見られません。気温もとても低いため、氷の粒でできたうすい雲が多く、太陽や月のまわりにかかる「(かさ)(ハロ)」をよく見かけます。また、雲ができる高さも、日本より低いことが多いです。

 ときにはめずらしい雲が現れることもあります。「極域成層圏雲」は高度15km以上の高い空にでき、オゾンを壊しやすくして、オゾンホールの原因のひとつとなります。高度約85kmものとても高い空にできる「極中間圏雲」は、人間活動の影響で生じるようになったと考えられていて、「気候変動のカナリア」とも呼ばれています。南極では、私たちの地球環境について考えるきっかけとなる現象が空にも見られるのです。

上空の薄い雲でできた「月暈(つきがさ、げつうん)」

太陽が沈んだ後も輝いて見える極域成層圏雲らしき雲
雲の観測風景(基本観測棟屋上)

掲載協力/国立極地研究所

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