きれいな水を使うために(2024年10月号)

水質検査に使う試薬や機器。

 今回は、南極で使っている水の話です。ここ昭和基地では、周りにある雪を溶かし、そこから塩分や不純物を取り除いてきれいな水をつくっています。しかし一度にたくさんの量はつくれず、また燃料を使わなくてはならないので、南極では水はとても貴重なものなのです。そこで僕たち医療隊員は、その大切な水を隊員みんなが安心して使うために、毎月厚生労働省の基準に準じた水質検査をしています。

 食堂や洗面所など基地の中のいろいろな場所から水を採取してきます。そして試薬を使って塩素や鉄や銅、ミネラル、有機物などの成分がどれくらい含まれているかを調べたり、色や濁り具合を蒸留水と比べたり、ばい菌が入りこんでいないかを実際に培養したりして調べています。65次隊が越冬を始めてから、水をつくってくれている隊員達のおかげでみんな健康です。隊員みんなが協力して昭和基地の生活を守っているのです。

基地の外にある130kℓ水槽。これにきれいな雪を入れて基地で使う水にします。
精製した水を貯めておく水槽。
試薬の入ったチューブに採取した水を入れて、色の変化でどれくらい塩素などの物質が含まれているかを調べます。
試薬の入ったチューブに採取した水を入れて、色の変化でどれくらい塩素などの物質が含まれているかを調べます。
水の色や濁りは、実際に目で見て蒸留水との違いを比べています。
この用紙を水に浸して培養し、ばい菌が含まれていないかを調べます。

(第65次南極地域観測隊 医療隊員 寺﨑 康展)
掲載協力/国立極地研究所

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