なぜ携帯電話は線がないのに遠くにいる人と話ができるの?

声を電波に乗せて伝えているからです

携帯電話のシステムは、携帯電話、基地局、光ファイバーで構成されています。基地局とは携帯電話と電波を使ってデータをやりとりする設備で、ビルの屋上などに設置されています。携帯電話で話した音声は数字の0と1の組み合わせでできたデジタルデータに変換され、電波に乗せて基地局に送られます。基地局から相手の携帯電話の近くにある基地局までは、主に光ファイバーでデータが送られます。光ファイバーは、髪の毛ほどの細い石英ガラス製の線で、データはこの中をレーザー光に乗せて運ばれます。大量のデータを一度に送ることができるのが特長です。
例えば、一郎くんが携帯電話で陽子さんの携帯電話に電話する場合を見てみましょう。一郎くんの電話は近くにある基地局と常に電波でつながっています。電話番号を押すと、基地局は陽子さんの電話がある場所をデータベースから瞬時に検索します。そして、近くの基地局から陽子さんの携帯電話を呼び出し着信音を鳴らします。陽子さんが電話に出ると、一郎くんの電話と回線がつながり通話ができるのです。
電波やレーザー光の伝わる速度は光の速さとほぼ同じなので、世界中どこにいる人とでも目の前にいるかのように通話ができます。また、移動中でも通話が途切れないのは、常に近くにある電波の強い基地局に切り替えて通信を行っているからです。
携帯電話では音声だけでなく文字・画像、動画を使ったコミュニケーションができますね。これは、声と同じようにデジタルデータに変換しているからです。デジタルデータは、パケットと呼ばれる小さな小包に分割されます。パケットにはそれぞれ、種類・宛先・読む順番などが書いてあります。受け取る側は、自分宛のデータのパケットを番号順に受け取っていくことで、声・文字・映像などとして取り出すことができます。
(白鳥 敬)

図 携帯電話の通信システム。
一郎くんの声は、電波で基地局まで送られると、
光ファイバーでつながった電話局を経由して、陽子さんの電話まで瞬時に届く。

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