3Dプリンターでは、どうやって形や物をつくり出すのですか?

材料を熱で溶かして、積み上げていく方法が一般的です

3Dプリンターから立体物がつくられていく様子は何度見ても不思議に思いますね。その原理には何種類かありますが、ここでは最も一般的な熱溶解積層法の原理を説明しましょう。

熱溶解積層法とは、やさしくいうと「熱で溶かして、積み上げていく」ことです。お店でソフトクリームを注文すると店員さんがコーンを持って、上から落ちてくるソフトクリームを回転させながら受けとめることで、うずを巻いてきれいな形ができますね。3Dプリンターも原理はこれと似ていて、ソフトクリームにあたる部分が溶けたプラスチックの細い線になります。

3Dプリンターの材料(フィラメント)は、直径が1.7mm程度で、熱を加えると溶ける性質を持つプラスチックです。3Dプリンターの内部には熱を加える部分があり、ここで200℃くらいに加熱されて溶けたプラスチックが直径0.4mm程度のノズルからチュルチュルと流れ出します(フィラメントを溶かして押し出す機器をエクストルーダーといいます)。ノズルの動きは作成したい図形に応じて一筆書きをするように進められますが、一筆書きと違うのは立体物にするために、積み上げるという動作があることです。

ところで、3Dプリンターから出力したい立体図はどのようにつくるのでしょう。これには3D CADや3D CGと呼ばれるソフトウェアを使う方法、実物をスキャナーという装置で取り込む方法、また、フリーで公開されている3Dデータを使う方法などがあります。

なお、3Dプリンターから出力したい3Dデータが用意できたとしても、そこにはノズルが一筆書きをする順序は書かれていません。これにはまた別に一筆書きをする順序を決めるためのソフトウェアがあります。一筆書きの順序のプログラムを人間が作成していたら大変なので、立体物の形状からソフトウェアが自動で作成してくれるのです。

(宮城教育大学准教授 門田和雄)

図 熱溶解積層法のしくみ。
エクストルーダーで溶けたプラスチックを押し出して積み上げていく。

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