【ノーベル化学賞】吉野 彰先生の研究-電極を改良してリチウムイオン電池の開発に貢献

2019年化学賞 吉野
あきら
先生(旭化成名誉フェロー)
※肩書は受賞当時

子供のころは「子供の科学」を読んで育ったという吉野先生

 充放電できる電池は、放電時はマイナスの電極(負極)からプラスの電極(正極)に、充電時はプラスの電極からマイナスの電極に電子が流れることで電気を取り出したり、溜めたりすることができます。

 そのため古くから高性能の電極を探し求める研究が進められ、電子を放出しやすいリチウムが注目されました。1970年代には正極にリチウムを、負極に二酸化チタンを用いたリチウムイオン電池の原理が考え出されていました。

 しかし、リチウムは発火しやすい性質があるため、長らく製品化できないでいたのですが、正極にリチウムとコバルトの化合物を使うことで安全性を高めることができました。さらに、吉野彰博士が負極に酸化材料を用いることを考案。現在のリチウムイオン電池の原型が出来上がりました。

 今やリチウムイオン電池はパソコンやスマートフォンに欠かせない電源になっていることから、リチウムイオン電池を開発した功績により、2019年に吉野博士にノーベル化学賞が贈られました。また吉野博士とともに、ジョン・グッドイナフ教授(アメリカ・テキサス大学)、スタンリー・ウィッティンガム特別教授(アメリカ・ニューヨーク州立大学)が共同受賞しました。


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サイエンスライター。1968年、大阪府生まれ。東京水産大学(現東京海洋大学)卒業後、ライターとなり、最新の研究成果を取材し、科学雑誌を中心に記事を発表している。著書に『がん治療の正しい知識』、『寄生虫の奇妙な世界』、『イヌとネコの体の不思議』、『群れるいきもの』などがある。

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