【2月のミッション】みんなの疑問を川上和人先生が解決!《科学ミッションカレンダー2024》

 「科学ミッションカレンダー2024」の2月のミッション「鳥(カラス)の歩き方を観察してみよう」で応募してくれたみなさんから、ミッションの報告とともに、質問もいただきました。ミッションのテーマになったカラスから、他の鳥のことまで、鳥に関するいろいろな質問に、川上先生に答えていただきました!

目次

1 カラスについて

Q1 
ミッションシートの歩き方の所に、ウォーキングとホッピングとその他がありますが、私はウォーキングとホッピングしている所しか見られませんでした。カラスはその他どんな歩き方をするんですか?

 鳥の歩き方にはほかにランニングがあります。ランニングとは走ることです。ダチョウが走るところを想像してみてください。ただし、カラスは急ぐときはホッピングをするので、ランニングすることはあまりなさそうです。また、キツツキのように木の幹を垂直に登る時はクライミングと言います。

Q2
カラスが好む場所や好まない場所の違いは何ですか? 同じような田んぼでもいつも、カラスがたくさんいる田んぼと、全然いない田んぼがありました。

 鳥たちは食べ物がたくさんあったり、危険が少なかったりする場所を好みます。カラスはそれだけでなく、仲間がいるところによく集まります。似たような環境なのにたくさんいる場所があったなら、それは偶然最初の1羽が降り立った場所に集まったのかもしれませんね。

Q3
カラスの縄張りは一羽につき大体どれくらいの広さですか?

 鳥たちは食べ物がたくさんあったり、危険が少なかったりする場所を好みます。カラスはそれだけでなく、仲間がいるところによく集まります。似たような環境なのにたくさんいる場所があったなら、それは偶然最初の1羽が降り立った場所に集まったのかもしれませんね。

Q4 
カラスが歩いているのが多い時間帯はありますか? あるとしたら,いつぐらいですか?

 カラスが歩く理由は、地上で食物を探すためというのが多いでしょう。そうすると、彼らが「遠くに飛んで移動するとき」や「休息しているとき」ではない時間帯によく歩いていると考えられます。それがいつなのか、ぜひ観察してみてください。

Q5
カラスは何の恐竜から進化したのですか。

 カラスだけでなく、全ての鳥が獣脚類のコエルロサウルスの仲間から進化しました。恐竜にもいろいろいますが、二足歩行をする恐竜のグループです。空を飛んでいなかった恐竜が飛び始めたというのは不思議ですよね。

Q6 
カラスは黒で周りよりひときわ目立つのになぜ、黒に進化したのですか。

 その理由はまだ完全にはわかっていません。ただし、カラスの仲間は群をつくるので、仲間を互いに見つけやすい黒は都合が良いと考えられます。また、黒い羽毛はメラニン色素によって強化されているので、いたみにくいというのもメリットです。

Q7
カラスの寿命は何年ですか?

 野生のカラスの寿命は10年ほどと考えられています。ただし多くの個体は若いときに死んでしまうので、みんなが10年生きるわけではありません。飼育をしている個体では、十分な食物があり、襲われることもないので、20年以上生きることもあるようです。

Q8
コクマルガラスってどんなところにいるんですか?

 コクマルガラスは白黒模様がきれいですよね。この鳥は中国やモンゴルなどで繁殖しています。日本では冬になると九州によく渡ってきますが、最近は分布が東に向けて広がっています。会えるといいですね。

Q9
違う種類の鳥とカラスが戦っていて、最初は一対一で戦っていたけどカラスが途中逃げました。その後カラスが仲間を連れて3羽になり戦いました。カラスが戦う時は連携するのですか?

 それはとてもよいシーンを見ましたね!その通りで、カラスは戦うときに1羽ではなく群れになって戦うことがあります。カラスだけでなく、シジュウカラやツバメなどでも見られる行動で、モビングと言います。

2 他の鳥について

Q10
ハトはなぜ人が近くにいっても逃げないんですか?

 まず、人間の近くは安全だからです。現在の街中ではハトが人間に襲われることはありません。そして人間が近くで見ている場所では、天敵となるネコやタカ、カラスなどに襲われることも少ないのです。さらに、人間はよく餌をくれるので、近くにいた方が楽に生きていけるのでしょうね。

Q11
他の野鳥の特徴や不思議を教えて欲しいです。

 鳥の最大の特徴と不思議さは、なんといっても空を飛ぶことです。そのおかげで彼らは他の動物ではできないような生活をしています。鳥の生活も体のつくりも、飛ぶことととても関係があります。どこがどう関係しているか、ぜひ観察して見つけてみてください。

Q12
何で川の近くはたくさん鳥がいるのか?

 川の中には魚やサワガニなど鳥の食べ物がたくさんあります。そして、河原には植物が生え、昆虫が住んでいるので、これも食物になります。開けた場所なので鳥同士でもお互いが見つけやすく、集まりやすいということもあるでしょう。そしてなにより、人間が彼らを見つけやすいというのもポイントです。

Q13
ウォーキングする鳥とホッピングする鳥がいるけど、どうして歩き方が違うのか?

 ウォーキングの鳥とホッピングの鳥の違いがなんなのかはまだ十分にわかっていません。ただし、ホッピングは比較的小さな鳥でよく見られ、大きな鳥では見られません。

Q14
ウォーキングとポッピングは、どちらのほうが疲れるのか?

 体の大きさによって違うと考えられます。体の大きな鳥ではホッピングをしないので、体が重いとウォーキングの方が楽なのだと思います。一方で体が軽い場合はホッピングの方が一歩で遠くまでいけるので、疲れにくい可能性があります。

Q15
他の鳥はどんな歩き方をしているのですか?

 カラスはホッピングとウォーキングを両方行いますが、どちらか一方しかしない鳥もいます。たとえばサギやハトはウォーキングばかり、スズメはホッピングばかりしています。身近にいる鳥たちがどんな歩き方をしているか、ぜひ観察してみてください。

Q16
翼竜はホッピングしてたんでしょうか?

 翼竜の足跡の化石が見つかっていますが、ホッピングをしているものは見つかっていません。翼竜は足だけでなく翼も地面について4本足で歩いていたようです。どんなふうに歩いていたか、想像してみてくださいね。

Q17
鳥のうんちはどうしておしっこと一緒に出るのですか?

 人間はうんちとおしっこが別の穴から出ますが、鳥は穴が1つしかなく同じ場所から出ます。このため、一緒に出てしまいます。じつは鳥の祖先の爬虫類も同じです。人間とは違うので、不思議な気分ですよね。

3 川上先生について

Q18 
川上先生は、いつ鳥が好きになりましたか?

 実は私は「鳥を研究すること」が好きなのであって、特に鳥自体が好きというわけではありません。大学生の頃に研究を好きになり、今も楽しくてしょうがありません。

Q19
川上先生は、最近はどのような鳥を研究しているのでしょうか?

 カツオドリやミズナギドリなどの海鳥が、生態系の中でどんな役割を果たしているかについて研究をしています。鳥がいることで、自然がどのように変わっていくのかがわかるといいなと思っています。

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