システムをアップデートしよう

1 システムのアップデートが必要な理由

 どんなシステムにも必ず不具合(バグ)があり、これを完全になくすことは
むずか
しいことです。もし、最初から完全なものをつくろうとすると、膨大
ぼうだい
な時間と人とお金がかかってしまいます。もしそうなら、多少の問題が残っていたとしても、まず世の中に出してしまって、問題が見つかった時点で直していった方が合理的
ごうりてき
ですね。

 世の中には、システムの弱点(セキュリティーホール)を攻撃
こうげき
して、情報
じょうほう
を盗んだり、勝手に操作する人たちがいます。このような人のことをクラッカー(※)と呼びます。クラッカーに攻撃されないためにも、システムを常にアップデートしておくのはラズパイユーザーの義務
ぎむ
です。

(※) クラッカーとハッカーはよくまちがわれますが、ハッカーは、高い能力を持ったソフトウェア技術者
ぎじゅつしゃ
のことで、すべてのハッカーが犯罪者
はんざいしゃ
というわけではありません。正義のハッカー(ホワイトハッカー)もいます。

2 システムアップデートの方法(タスクバーのアイコンからアップデート)

 Raspberry Pi OS Bullseyeからは、タスクバーのアイコンから更新できるようになりました。

① アップデートがあるときは、タスクバーの赤丸で示しているアイコンが表示されます。これをクリックすると、メニューが表示されるので、「Show Updates…」を選ぶと更新の一覧が表示されます。そして、「Install Updates」を選択すると、アップデートが行われます。
 アップデートを溜めると、更新に時間がかかってしまうので、気が付いたら行うことをお勧めします。アップデート中も作業できますが、再起動が必要になる場合もあります。

3 CUIを使ったアップデートの方法

 これまでのラズベリーパイOSでのシステムアップデートは、キーボードと文字を使ったインターフェース、つまりCUIを使って行っていました。タスクバーからのアップデートがうまくできないときは、この方法でのアップデートをお試しください。
 CUIの使い方は「文字を使ってパソコンと対話する方法」を参考にしてください。

 ラズベリーパイOSのシステムは、多くのパッケージからできています。パッケージというのは梱包
こんぽう
包装
ほうそう
という意味で、このパッケージを管理するのが、「apt」というコマンドです。コマンドに続けてオプションを入力することで、いろいろなことができます。たとえば、パッケージの目録
もくろく
(インデックス)を最新にするには、「sudo apt update」と入力してEnterキーを押します。先頭の「su」は管理者
かんりしゃ
(super user)として実行(do)するという意味です。さっそくやってみましょう。

① インデックスはインターネットから取ってくるので、コマンドを入力する前に画面の右上のアンテナのマークを確認して、インターネットに接続されているかどうか確認してください。
 確認出来たら、スタートメニューから「LXTerminal」を起動してください。表示された画面で、「pi@raspberrypi: ~ $」(プロンプト)の後に「sudo apt update」と入力してEnterキーを押してください。

「sudo apt update」と入力

 アップデートの実行には数分かかることがあります。以下のような表示が出たら、「y」を入力してEnterキーを押してください。

 再びプロンプトが表示されたら終了です。

② 続いて、パッケージを最新のものにアップグレードするために「sudo apt upgrade」と入力してEnterキーを押してください。

③ 途中で「続行しますか? [Y/n]」と聞かれるので、「y」キーを押してから「Enter」キーを押して続けましょう。

 また、途中で以下のような表示が出たら、「q」キーを押してください。

④ 更新
こうしん
が必要なパッケージの量や通信速度などによって、これには数分から数時間かかることもあります。再びプロンプトが表示されたら終了です。

 aptのオプションには、パッケージ構成まで変更する「full-upgrade」もあります。しかしシステムが大きく変わってしまうこともあるので、今回は行いません。
 以上でシステムのアップデートは終了です。右上の「x」をクリックしてLXTerminalを閉じてください。

 アップデートは、気がついたときにやるようにしてください。定期的に行ってもよいし、少なくとも1か月に1回はやることをおすすめします。

最新号好評発売中!

子供の科学 2025年 1月号

CTR IMG