ゲームクリエイターになるには?《前編》

 大好評発売中の書籍『ゲームを改造しながら学ぶ Scratchプログラミングドリル』はもう読んでくれたかな?

 この本では、『城とドラゴン』『ドラゴンポーカー』『ガンビット』などの大人気スマホゲームを生み出したアソビズム現役
げんえき
ゲームクリエイターが、Scratch(スクラッチ)でのゲームプログラミングの秘訣
ひけつ
を伝授している。

 おもしろいゲームがどんなしくみになっていて、どうやってつくられているのか、実際
じっさい
に自分の手でプログラムを改造して、オリジナルゲームを完成させながら学べるようになっているんだ。「スタプロ」では、本書でつくれる本格ゲーム全10本の紹介や、実際に小学生がゲームづくりを体験したレポートも載っているから参考にしてね。

 今回は、本書の著者であるゲーム開発会社・アソビズムのゲームクリエイターに、ゲームクリエイターがどんなお仕事で、どうしたらなれるのか。そして、この本でゲームづくりを楽しむみんなのために、おもしろいゲームづくりの秘訣を聞いたよ!

アソビズムのみなさん。主催イベントでキャラクターに扮している!

1 ゲームクリエイターってどんなお仕事?

 プロのゲームクリエイターは、チームで協力してゲームづくりをしています。その役割は大きく4つに分かれます。

1-1 ディレクター(プランナー)

 ゲーム制作は、ディレクター(プランナー)がゲームの企画を考えることからスタートします。どんなゲームにしたいのか、何がおもしろいポイントなのか、新しいゲームのアイデアを出すことが仕事です。また、チームのメンバーと相談しながら、ゲームを完成まで導くまとめ役でもあります。

1-2 プログラマー

 ディレクターのアイデアをもとに、実際にプログラミングをしてゲームのしくみをつくり上げる仕事です。

1-3 デザイナー

 キャラクターや背景、アイテムなどの絵をつくる仕事です。魅力的な主人公や恐ろしい敵のキャラクター、わくわくドキドキするようなステージがゲームをおもしろくします。

1-4 サウンドクリエイター

 ゲームに流れる音楽や効果音をつくる仕事です。プレイしているときの気持ちを盛り上げる音楽や、敵を倒したりアイテムをとったりしたときに「やったー!」と感じるような効果音がゲームの魅力になります。

 スクラッチを使って1人でゲームをつくる場合、これらぜんぶの役割を1人でやることになりますね。ゲームのアイデアを考えて、キャラクターや背景をつくったり素材から選んだりして、プログラミングをしてしくみをつくり、効果音や音楽をつけて完成させます。

2 ゲームプログラマーの仕事の魅力とは?

 「スタプロ」はプログラミングのサイトなので、ゲームプログラマーのことを中心にお話しましょう。

2-1 プログラマーに必要な能力

 ディレクターが考えた企画をもとにプログラムを組んでいくわけですが、うまいプログラマーは数学が得意で、高い論理的思考力
ろんりてきしこうりょく
を持っています。複雑
ふくざつ
なキャラクターの動きを効率よくプログラミングしていくには、高等数学を駆使
くし
する必要があるんです。算数や数学が得意な人は、やはりプログラマーに向いていると思います。みなさんがスクラッチでゲームをつくるときにも、思いついたキャラクターの動きを、どうやったら少ないブロックで実現できるか考えてみてほしいです。そのとき、数学の知識や論理的思考力が必要になってきます。

 こうしたプログラミング技術とは別に、ゲームの操作感
そうさかん
手触
てざわ
り感を表現するのがうまいプログラマーがいます。たとえば、ディレクターが「このキャラクターは“気持ちのいいジャンプ”をさせたい」と企画書に書いていたとします。ディレクターに話を聞くと、「ふわっとした感じで」とか、実際に身振
みぶ
り手振りでそのジャンプのイメージを伝えられるわけですが、これをプログラムに落とし込むところに、ゲームプログラマーのセンスが求められます。場合によってはプログラマーのほうから、「ここはふわっとさせずに、空を飛べるようにしちゃったほうがいい」など、新しい操作のイメージを提案することもあります。

 ゲームのプロトタイプ(試作)をつくり上げる段階では、多少プログラムは雑でもいいから、遊んだときの操作性を表現できるプログラマーが活躍することも多いですね。

2-2 プログラミングの8割はテスト

 ディレクターとコミュニケーションをとりながらプロトタイプをつくり、OKとなったら実際にプログラムを組んでゲームを完成させていきます。ゲームプログラミングは、じつはプログラムが一通り出来上がってからが勝負なんです。

 ゲームプログラミングの工程の8割は、一通りプログラムができた後のテストの時間です。ゲームをプレイしながら、エラーがないかを探したり、もっといいものにならないか検討したりします。大きなゲーム開発のプロジェクトでは、テスターといってゲームをひたすらプレイしてエラーを探す仕事をする人もいます。

 「もっとおもしろくならないか」と探求し、試行錯誤
しこうさくご
し続ける
ねば
り強さが、ゲームクリエイターには必要だと思います。

 こうしてチームでつくり上げたゲームが、スマホゲームであれば、アプリのストアでリリースされて世の中に発信されます。そしてたくさんの人にゲームをプレイしてもらうことが喜びになり、次のゲームづくりにつながっていきます。スクラッチでも自分でつくったゲームを世界に向けてシェアする機能があります。みなさんもつくったゲームを、家族や友達、そして世界中の人に遊んでもらうといいですよ。遊ぶ人の姿を想像しながらつくれるようになったら、もう立派なゲームクリエイターの仲間入りです。

 次回は、おもしろいゲームをつくる秘訣を紹介していきます。最後にゲームクリエイターになりたいみんなへのアドバイスをするのでお楽しみに!

書籍『ゲームを改造しながら学ぶ Scratchプログラミングドリル』の詳細はこちら

(取材協力/アソビズム 文/子供の科学編集部 イラスト/有留ハルカ)

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