スクラッチ×micro:bitでエクササイズゲームをつくろう③

 micro:bit(マイクロビット)は手のひらサイズの小さなコンピューター。いろいろな機能
(きのう)

(そな)
わっていて、自分でプログラミングをすることができるよ。ブログラミングは「MakeCode(メイクコード) for micro:bit」を使えば、初心者でもかんたんにできるんだ。

 『子供の科学』本誌
(ほんし)
連載
(れんさい)
「micro:bitでレッツプログラミング!」では、micro:bitを使った「探検
(たんけん)
ウォッチ」というツールを使って、その機能
(きのう)
をプログラミングでつくったけれど、この連載が「スタプロ」にお引っ越し。Web連載でも、探検ウォッチのいろいろな機能をプログラミングでつくっていくぞ!

 これまでの本誌連載のバックナンバーは、micro:bit特設サイトで公開しているよ(コカネットの無料会員登録が必要)。本誌の連載を見たことがないという人は、まずこちらを見てみてね。Web連載は、本誌の連載の続きになっているから、基本的なことがわからなくなったら本誌のバックナンバーを
り返ろう。

 今回は探検ウォッチと、初心者向けプログラミング言語の定番
(ていばん)
、Scratch(スクラッチ)のプログラムを連携
(れんけい)
させて、おうちの中で楽しめるゲームをつくっていくぞ。

 さて、前回までの連載で、micro:bitをScratch 3.0につなぐことで、計測
けいそく
したセンサーの値をScratchで受け取って、プログラムに利用できることがわかった。今回つくるエクササイズゲームではmicro:bitの加速
かそく
センサーの値を利用していくよ。さっそく、ゲームのプログラムをつくっていこう。

1 うでの動きを検知するプログラムをつくる

 前回の実験で、加速度センサーの値を数値
すうち
で取り出す方法がわかった。ゲームではどんな動きを検知
けんち
するようにすればいいかな。

 長い時間パソコンに向かってプログラミングをしていると、
くび

かた

つか
れてこないかな。みんなはそうじゃなくても、家族がよく「肩がこった」と言っているかもしれないね。

 そんなとき、うでを回したり動かしたりすると肩や首がほぐれる。そこで、次のような動きを検知するのはどうだろうか。

両うでを左右に広げた後上にあげ、頭の上で手を合わせる運動
両うでを左右に広げた後、上にあげ、頭の上で手を合わせる運動

 そう、大きな手拍子
てびょうし
を打つようなポーズだね。これを何度か
り返してみよう。首筋
くびすじ
や肩がじわっとあたたまってきたり、なんとなくすっきりしてくるよね。そこで、この動きを検知するようなプログラムをつくってみよう。

 では、右手首に探検ウォッチを付けた場合に、うでの
かたむ
きを検知できるプログラムをつくる。スクラッチ公式ページにアクセスして、「作る」をクリックしてプロジェクトエディターを開くよ。ここで、micro:bitとつなげよう。「Scratch Link」を起動
きどう
するのを忘れずに!

 micro:bitとつながったら、「見た目」カテゴリーの「“こんにちは!”という」ブロックに、「micro:bit」カテゴリーの「“前”方向の傾き」ブロックを組み合わせる。“前”は“右”に変えよう。それを「制御
せいぎょ
」カテゴリーの「ずっと」ブロックに組み合わせるよ。

ずっと右方向の傾きの数値を言い続けるプログラム

 探検ウォッチを右うでにつけて、うでを水平にしたり、頭の上にあげてみて、ネコがしゃべる数値を確認しよう。

 右うでが水平のときには0前後、頭の上にあげたときには100前後の数値になったのではないかな。そのあたりの数値を使って、大きな手拍子の動きを検出
けんしゅつ
、手をたたく回数をカウントしてみよう。水平の状態、頭の上で手を合わせた状態
じょうたい
をチェックポイントと考えるよ。

右うでが水平の時の傾きの数値
右うでが水平のときの傾きの数値
うでを頭の上にあげたときの傾きの数値
うでを頭の上にあげたときの傾きの数値

 「演算
えんざん
」カテゴリーの「“ ”<“50”」ブロックの左側に、先ほどのプログラムで使った「“右”方向の傾き」ブロックを入れて、右側の数値は“10”にする。それを「制御」カテゴリーの「“ ”まで待つ」ブロックに入れる。もう1つ同じようなブロックをつくるけど、「“右”方向の傾き>“80”」ブロックを「“ ”まで待つ」ブロックに入れるよ。

 「変数
へんすう
」カテゴリーで変数「カウント」をつくって、「“カウント”を“1”ずつ変える」ブロックもつないで、「ずっと」ブロックに組み合わせるよ。

 プログラムができたら、探検ウォッチを右手首につけて、うでを動かしてみよう。
 チェックポイントである、右方向の傾きの条件
じょうけん

たせばプログラムが進むので、うでを水平にする(傾きの値が0)、頭の上で拍手する(傾きの値が100)と、カウンターがアップしていくというわけだ。これで基本的
きほんてき
なゲームのプログラムはできたぞ。

うでを動かすとカウントアップされる

2 操作方法を教えてくれるインストラクターをつくる

 一応これでもエクササイズゲームとしては使えるけど、何となく
り上がらないよね。そこで、ゲームとして盛り上がるストーリーや、見ていて楽しい画面をつくっていくぞ。

2.1 インストラクター用のスプライトを選ぶ

 まず、操作
そうさ
方法を案内
あんない
してくれるインストラクターをつくってみよう。「スプライト」の右下にある、ネコのアイコンのボタンをクリックして、スプライトのライブラリーを開くよ。

スプライトを選ぶのボタン

 「スプライトを選ぶ」の下にあるアイコンで「人」をクリックすると、いろいろなポーズをとっている人のスプライトが表示される。

 でも、今回のゲームで使えるような、両うでを水平にしたり、頭の上で手を合わせるというポーズのスプライトは見つからない。そこで、「Max」というスプライトを使って、これを変更
へんこう
することでエクササイズゲームのインストラクタートにしていくよ。

Maxのスプライト

 「Max」をクリックすると、ステージの上に表示されたね。ステージにはもともとあったネコとMaxがあるけど、Maxの方を選択
せんたく
して、そのプログラムをつくっていこう。

スプライトでMaxを選択する

2.2 あいさつをする

 最初
さいしょ
にゲームに参加
さんか
したプレーヤーにあいさつをするよ。「見た目」カテゴリーの「“こんにちは!”と2秒言う」ブロックを使って「探検エクササイズチャレンジへようこそ!」とセリフを言わせてみよう。

 「イベント」カテゴリーの「緑の
はた
が押されたとき」ブロックに組み合わせるときに“こんにちは!”を“探検エクササイズチャレンジにようこそ!”に変えるよ。

 「緑の旗が押されたとき」ブロックに組み合わせるのは、スタートの合図と同時に実行されるようにしたいからだ。

緑の旗をクリックするとメッセージを表示するプログラム

 緑の旗をクリックしたら、「Max」が「探検エクササイズチャレンジにようこそ!」と言ってくれたかな。

緑の旗をクリックしたら、メッセージを表示

2.3 インストラクターのポーズをつくる

 次に、スプライトのコスチュームを変更して、必要
ひつよう
なポーズをつくっていこう。

 「コスチューム」タブを開くと、いくつかのコスチュームがあるね。この中から使いやすいコスチュームを選んで、ポーズを変更することにしよう。

コスチュームタブにいくつかのコスチュームがある

 今回のゲームで必要なのは、始めるときと終わるときのポーズ、両うでを水平にしたポーズ、頭の上で手を合わせた3種類
しゅるい
あればだいじょうぶだ。始めるときと終わるときのポーズは、「max-c」をそのまま使おう。

 両手を水平に広げたポーズは「max-a」のうでの傾きを変更してつくろう。

コスチューム「max-a」の編集をする

 矢印アイコンの選択ツールで左側のうでをクリックする。

うでの向きと位置を変更

 セレクトボックスの下にある左右の矢印のところにカーソルを置き、マウスのボタンを押すとつかむことができる。そのままマウスを動かすと、うでの向きを回転させることができる。向きを変えたら、次はセレクトボックスを選択して、うでの位置を変えよう。

両うでを水平にするポーズに変更

 右うでも同じように向きと位置を変えて、両うでを水平にするポーズにしよう。

 次は両手を頭上で合わせたポーズをつくる。つくり方は水平にするポーズと同じだけど、コスチュームは「max-b」を使うよ。

「max-b」のコスチュームを変更してポーズをつくる

 もうちょっとこだわるなら、いまは手を
かさ
ねているポーズだけど、手のひらを合わせているように手の部分を
きなおしてもよさそうだね。

2.4 インストラクターのプログラムをつくる

 コスチュームが出来上
できあ
がったら、コードエリアに戻って、プログラムをつくっていこう。うでの動きをカウントするプログラムは、ネコのスプライトでつくったものがあるよね。それを活用しよう。

① スプライトエリアで、「スプライト1」(ネコ)をクリックして、コードエリアのプログラムを、「Max」のスプライトにドラッグ&ドロップしよう。スプライトのパネルがゆれたらコピーが完了
かんりょう
しているよ。

ネコのスプライトから、Maxのスプライトにプログラムをドロップ&ドラッグ

② コピーしたプログラムに、コスチュームのブロックを追加していこう。「見た目」カテゴリーの「コスチュームを“max-a”にする」ブロックを「“右”方向の傾き<“10”まで待つ」ブロックの下に、「コスチュームを“max-b”にする」ブロックを「“右”方向の傾き>“80”まで待つ」ブロックの下に入れよう。

動きとコスチュームが連動するプログラム

 ここまでできたら、探検ウォッチを右手首につけてから、「ずっと」ブロックをクリックしよう。うでを動かすと、それにあわせてステージ上の「Max」の動きが変わるよ。これで、一緒にエクササイズをしてくれるインストラクターの動きをつくることができた。これはエクササイズゲームの中心になるプログラムだ。ここでいったん、「探検エクササイズ」という名前で保存しておこう。

 次回は、いよいよエクササイズゲームを仕上げていくよ。エクササイズを始めるとき、終わるときのプログラムもつくって完成させていくぞ。お楽しみに!

(文/倉本大資 撮影/青柳敏史 イラスト/新保基恵)

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