《初心者レベル》ハンダづけなしではじめる|いまスグはじめる電子工作ガイド

 電子工作初心者だと、いきなりハンダづけをするのはちょっと難しいかもしれません。そこで、まずハンダづけをしないでできる電子工作から始めてみましょう。ブレッドボードという、電子部品を差し込むことで回路をつくることができる部品を使っていきます。まずはいろいろな回路をつくってみましょう!

1 ブレッドボードを使おう

 電子工作は、さまざまな電子部品を接続
せつぞく
して行います。ふつう電子工作では、基板
きばん
に部品をハンダづけすることで接続しますが、ブレッドボードを使えば、穴に部品の端子
たんし
(足)を差し込むことで接続できます。

ブレッドボード

 例えば、上の写真のようなブレッドボードは、下の図のグレーでぬられた
たて
に並んだ5つの穴が、内部で電気的につながっています。

ブレッドボードのしくみ

 例えば、LEDを光らせたい場合、このように部品を差し込めばOK。

ブレッドボード配線図(左)と回路図
実際にブレッドボードでつくった回路

 間に入っている、ひょうたんのような細長い部品は抵抗器
ていこうき
といいます。LEDは豆電球と違って、そのまま電池につなぐと電気が流れすぎて壊れてしまうので、抵抗器という電気を流れにくくする部品を間につなぐ必要があります(電流制限抵抗)。

 ブレッドボードを使えば、電子部品をいろいろ抜き差ししながら、お手軽に電子工作がはじめられるので初心者にオススメです。

2 電子部品を手に入れよう

 電子部品は一部のホームセンターや模型店、電気店などのほか、東京の秋葉原、大阪の日本橋を中心に集まっている電子部品の専門ショップで取り扱っています。

 しかしはじめての人の場合、どの部品を買えばいいのかわからない、いろいろな種類があって選び方がむずかしいという人も多いでしょう。初心者のみなさんには、電子工作に必要な部品がまとまったキットからスタートすることをオススメします。

 ポケデンでは、ブレッドボードを使った作品があります。ブレッドボードをはじめ、必要な電子部品をまとめたキットもあるので、まずここからチャレンジしてみてください。

「LEDジッケンボックス」

 ブレッドボードを使って、4色のLEDをさまざまに光らせることができるキットです。光の三原色や、抵抗と明るさの関係など、光にまつわるいろいろな実験をすることができます。

「カラーシミュレーターBB」

カラーシミュレーターBB

 ブレッドボードを使って、RGB(赤、緑、青)の3色のLEDで光の三原色の実験ができるキットです。それぞれのLEDの明るさを調節することができるので、いろいろな色をつくってみてください。

「音と光のジッケンボックス」

音と光のジッケンボックス

 電気の波をつくりだす発振回路
はっしんかいろ
によって、LEDを点滅
てんめつ
させたり、電気の波を音に変換
へんかん
する実験ができるキットです。電子部品を変えることで、音や光がどんな変化をするか実験してみてください。

3 電子部品のことを知ろう

 電子工作でよく使う電子部品を紹介します。これらの部品を精密
せいみつ
にしたものが、ゲーム機やテレビ、スマートフォンなど身近な電子機器でも使われています。

コンデンサー

コンデンサーのしくみ

 コンデンサーは電気をためることができる部品です(左は電解コンデンサーです)。電気はプラスとマイナスがあり、プラスとマイナスは引き合い、同じ
きょく
同士は反発する磁石
じしゃく
のような性質をもっています。コンデンサーの内部には2つの金属板が近い距離で入っていて、それぞれプラスとマイナスの電極
でんきょく
に接続することで、2つの金属板の中で電気が引き合い、電気が集まった状態になります。これで電気がたまった状態になるのです。この電気をためられる量はF(ファラッド)という単位で表します。

工作のポイント
 電解コンデンサーは足にプラスとマイナスの向きがあります。足が短いほうがマイナスですが、足を切ってしまうとわからなくなります。その場合、白い目印があるほうがマイナスなので、接続するときによく確認しましょう。

抵抗器

抵抗器

 電気を流れにくくする部品です。抵抗器をつなげることで、回路に流れる電気を適切な量に調整することができます。抵抗器は本体にペイントされている色帯
いろおび
(カラーコード)で抵抗値を表しています。

工作のポイント
 カラーコードをよく確認して、抵抗値を間違えないようにしましょう。

カラーコードの読み方(色帯のカラーと数値)
カラーコードの読み方(色帯のカラーから抵抗値を出す方法)

トランジスター

 トランジスターには3本の電極があり、それぞれエミッター(E)、コレクター(C)、ベース(B)と呼ばれています。主な役割は電気の増幅
ぞうふく
です。増幅とは入力信号を大きくして出力すること。ベースに入力された電気信号をエミッター~コレクター間に増幅して出力します。この働きを応用して、ベースへの入力でエミッター~コレクター間がスイッチON-OFFされると考えると、スイッチング機能を果たします。

工作のポイント
 端子が3本あり、接続を間違えると機能しません。平らになっている面と丸くなっている面の向きをよく確認して、3本の足を正しい位置に接続するようにしましょう。

LED(発光ダイオード)

 LEDは、電気を一方通行に流すダイオードの一種で、半導体でできています。電気が流れたときに発光するしくみです。
 半導体はある条件のときに電気を通す物質です。LEDの場合はアノード端子からカソード端子の方向のみに電気が流れます。反対には流れません。
 2014年に日本人がノーベル賞を受賞した青色LEDのおかげで光の三原色(RGB)がそろい、いろいろなものに応用できるようになりました。

工作のポイント
 LEDはアノードにプラス、カソードにマイナスの電気をつなげると電気が流れ光ります。足が長いほうがアノードですが、足を切ってしまうとわからなくなってしまうので、マジックペンで印をつけるなどして、アノードとカソードがわかるようにしておきましょう。

LEDの点灯には電流制限抵抗が必要

 電流制限抵抗
でんりゅうせいげんていこう
とは、その名の通りLEDに電流が流れすぎないように制限をかける抵抗です。

 LEDを直接電池につなげるとLEDには多くの電流が流れ、壊れてしまうことがあります。そうならないためには、LEDと直列
ちょくれつ
に抵抗を入れ、回路に流れる電流を適正
てきせい
な値にする必要があります。

 例えば、乾電池直列3個=4.5Vの電源電圧で、青色あるいは緑色LEDを点灯する場合、LEDに3.5Vの電圧をかけるためには抵抗器に1Vの電圧をかけると考えましょう。抵抗器とLEDで電圧を分けるのでこれを「分圧
ぶんあつ
」といいます。そして、この抵抗器、LEDに流れる電流を20mAにするには、「オームの法則」を使って考えます。

オームの法則

 このオームの法則を使って考えると、1/0.02=50Ωと抵抗値が計算できます。しかし50Ωという抵抗値の製品はないので、この場合、近い数値のもので51Ωを使います。ただし、数値が近くても50Ωより低いものでは電流が多く流れてしまうことになるので、LEDを壊してしまう危険性もあり、注意が必要です。

オームの法則による抵抗値の計算

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工作をした人

伊藤尚未 著者の記事一覧

あるときは理科実験教室の講師、またあるときは動物園の飼育員、またあるときは屋内配線の電気工事士、そしてその実態はメディアアーティスト、伊藤尚未! 子供の科学では2001年から電子工作の記事を執筆しており、代表的な書籍は「電子工作大図鑑」「電子工作パーフェクトガイド」があるのだ!

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