小中学生トコトンチャレンジ2025ロッテ賞・加藤直樹さん「ガムによる歯科ケア」の研究

自分の好きなことをトコトン究めていきたい小中学生を応援する、「トコトンチャレンジ2025」。

ロッテ賞を受賞した加藤直樹さん(小学5年・写真左から2番目)は、自分の歯科矯正経験から、噛むことや、あごを発達させる重要性を知り、噛むことを習慣化し、健康に貢献できるものの開発を目指しました。
 加藤さんが着目したのはガム。株式会社ロッテのみなさんの協力を得ながら研究を進め、食後に噛む「いっぷく茶GUM」という商品プランにまとめました。加藤さんの研究内容を紹介します。

歯科矯正がきっかけで、歯科ケアに注目

 自分の歯科矯正をきっかけに、噛むことや歯の健康に興味を持った加藤さん。よく噛むことが健康に寄与することを知りました。よく噛む食べ物として、スルメや昆布がありますが、塩分が気になります。グミもよく噛む食品ですが、糖分が気になりました。

  

 いろいろ探して見つけたのが「ガム」。咀嚼回数ランク表で上位に位置する、“よく噛む食べ物”です。糖分も比較的低く、低価格なのもよさそうです。

  

 しかし、最近ではグミの人気が高くなり、“ガム離れ”が進んでいる傾向もあるようです。そこで、ガムならではの良さを加藤さんは考え、「噛む」だけではなく、「歯の汚れをとる」機能に注目しました。

  

ロッテ「噛むこと研究部」のみなさんの協力

ガムを製造・販売している株式会社ロッテの「噛むこと研究部」のみなさんにサポートをしていただけることになりました。「噛むこと研究部」ではその名の通り、噛むことの効果について研究をしている部署です。加藤さんとともに、どのようなガムなら歯の汚れが落ちやすいかを調べることになりました。

 ガムの材料に、乾燥させた野菜や果物を細かくしたものを混ぜ、自身で噛んでみて、どのくらい汚れが落ちるかを検証します。染色液で口内を染色し、ガムを噛んだ後に、どれくらい染色液が落ちたかで汚れの落ち具合を判断します。

  

 リンゴ(ドライフルーツ)、にんじん、砕いたアーモンド、砕いたミルクケーキ、それぞれを混ぜたガムを試作。ガムを噛んで検証しましたが、なかなか汚れは落ちませんでした。

  

 そのほか、歯ブラシの毛先の構造に似ているのではと考え、もやしやセロリを混ぜたガムでも実験。汚れを落とす効果があがりました。特に緑茶の茶葉を混ぜたガムは汚れの落ち具合もよく、味も美味しいものになりました。

  

 ロッテの研究員の方から「ガムに練り込まれた茶葉のサイズ(粒度)が大きいことにより、歯の表面が研磨された可能性があるのでは」とコメントをもらいました。そこで、茶葉の細かさを変えて実験したところ、細かい茶葉よりも、ある程度の大きさの茶葉(3~5mm)の方が汚れが落ちることがわかりました。ガムを噛むタイミングは食後すぐ、噛む時間は長い方が汚れが落ちることもわかりました。

  

 さらに、ガムの大きさを変えて実験したところ、大きいかたまりのガムの方が汚れが落ちやすい結果となりました。

  

 上の条件を満たすものが「歯の汚れが落ちやすいガム」であることがわかりました。条件を満たすガムを試作し、検証したところ、汚れが落ちる効果が高いことが確かめられました。

  

実験結果から考えた新しいガムの提案

 実験から、ガムだけでは、汚れは完全に落ちないが、噛むタイミングや噛む時間数を意識することも重要であることを認識しました。そこで加藤さんは、ガムを噛むことが習慣となるような、「ガムを噛む体験」としての提案を考え、「いっぷく茶GUM」というアイデアにまとめました。「食後のいっぷくにお茶を飲む」という習慣をイメージした機能性ガムです。

  

 その他、家族に「こんなガムがあったらいいなと思うガム」も聞いてみました。

  

 さらに考察を進め、さまざまなアイデアを考えました。加藤さんは「アップサイクル」に注目。アップサイクルとは、本来はそのまま捨てられる廃棄物や不用品の一部を再利用して、新たな価値ある製品に生まれ変わらせることです。茶葉を混ぜたガムをつくるだけではなく、廃棄された茶葉や茶殻でガムを包む紙をつくることができるのでは? というアイデアが生まれました。そのほか、上のようなさまざまなアイデアを加藤さんは考えています。

まとめ(子供の科学編集部)

  「噛みたくなるガムをつくる」というテーマからスタートして、ガムの機能性に注目し、「噛むことで汚れが落ちやすくなるガム」を試作し、実験・検証をした加藤さん。その結果から「いっぷく茶GUM」という具体的な商品プランを考え、社会への提案を含めて、深みのある内容にすることができました。これからもぜひ歯科ケアの研究をさらに深めてください。応援しています。


【謝辞】株式会社ロッテ 中央研究所・噛むこと研究部のみなさまには、実験の機会を与えていただいた他、さまざまなサポートをいただきました。ご協力に感謝申し上げます。

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